「生成AIブーム」が長くは続かない訳 人気衰退は“必然”か陰りを見せる「AI」ブーム【前編】

世界中で人工知能(AI)技術がブームになっているが、この状況は近いうちに終わるという見方がある。AI技術の今後の普及に大きく影響する、ある深刻な問題とは何か。

2023年08月08日 07時15分 公開
[Bryan BettsTechTarget]

関連キーワード

人工知能 | データ | プライバシー


 人工知能(AI)技術に関するさまざまな懸念が浮上している。例えば、過度に誇張された主張や誇大広告、期待値を適正に管理する対策の欠如、プライバシーや倫理、公平性に関する問題などだ。このようなAI技術に関する懸念は、直接的に財政や技術の破綻につながるわけではない。ただし今後は、テキストや画像などを自動生成するAI技術「ジェネレーティブAI」(生成AI)を含め、その普及にある深刻な問題を引き起こす可能性がある。

「生成AIブーム」の衰退は必然か

 AI技術に対する世間の信頼が、今後の問題の一つだ。2023年7月、英国の調査企業Freeform DynamicsはCIO(最高情報責任者)50人を対象に実施した調査結果をまとめたレポート「But is that really Artificial Intelligence?」を公開した。これによると、CIOの82%は「これまでに出会ったITベンダーの半数以上がAIに関する能力があると主張した」と回答したにもかかわらず、実際に信用に足ると感じたベンダーはわずか20%に過ぎなかったという。

 生成AIを使ったチャットbotといったAIツールへの信頼性が低くなる理由は、真実とうそを見極められなかったり、主張が思慮深さに欠けたりするからだけではない。実在する人間の特徴を模倣して作られた画像や動画、音声などを指す「ディープフェイク」の脅威が拡大していることも一因だ。例えば詐欺師は、成熟度の高い音声合成技術を使用して標的の親族になりすまし、お金に困っていると信じ込ませようとする。

 客観的に考えると、AI技術に対する信用の崩壊は理にかなっている。生成AIの「ハイプサイクル」(成熟度や採用度で図る技術のライフサイクル)が過去のどの技術よりも急カーブを描いているとしたら、生成AIのそれは他の技術よりもかなり早く幻滅期を迎えて不思議ではない。

 大規模言語モデル(LLM)は、生成AIを構成する要素の一端に過ぎない。しかし、LLMにより生じた世間の幻滅は、より広範囲に及ぶ影響をもたらすことを研究者は理解している。


 後編は、企業はAI技術の今後をどのように捉えているのかについて解説する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news058.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年3月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news178.jpg

Androidの偽アプリを使った新たな広告詐欺、広告主にもユーザーにも大迷惑な手口とは?
疑いを持たないユーザーと広告ネットワークを巧みに悪用する、高度に組織化された広告詐...

news047.jpg

在任期間は短くても将来は明るい? データが示すCMO職のさらなる出世の可能性
CMOの約3分の2はポジションを離れた後、社内で昇進するか、他のブランドで同等またはより...