世界中で人工知能(AI)技術がブームになっているが、この状況は近いうちに終わるという見方がある。AI技術の今後の普及に大きく影響する、ある深刻な問題とは何か。
人工知能(AI)技術に関するさまざまな懸念が浮上している。例えば、過度に誇張された主張や誇大広告、期待値を適正に管理する対策の欠如、プライバシーや倫理、公平性に関する問題などだ。このようなAI技術に関する懸念は、直接的に財政や技術の破綻につながるわけではない。ただし今後は、テキストや画像などを自動生成するAI技術「ジェネレーティブAI」(生成AI)を含め、その普及にある深刻な問題を引き起こす可能性がある。
AI技術に対する世間の信頼が、今後の問題の一つだ。2023年7月、英国の調査企業Freeform DynamicsはCIO(最高情報責任者)50人を対象に実施した調査結果をまとめたレポート「But is that really Artificial Intelligence?」を公開した。これによると、CIOの82%は「これまでに出会ったITベンダーの半数以上がAIに関する能力があると主張した」と回答したにもかかわらず、実際に信用に足ると感じたベンダーはわずか20%に過ぎなかったという。
生成AIを使ったチャットbotといったAIツールへの信頼性が低くなる理由は、真実とうそを見極められなかったり、主張が思慮深さに欠けたりするからだけではない。実在する人間の特徴を模倣して作られた画像や動画、音声などを指す「ディープフェイク」の脅威が拡大していることも一因だ。例えば詐欺師は、成熟度の高い音声合成技術を使用して標的の親族になりすまし、お金に困っていると信じ込ませようとする。
客観的に考えると、AI技術に対する信用の崩壊は理にかなっている。生成AIの「ハイプサイクル」(成熟度や採用度で図る技術のライフサイクル)が過去のどの技術よりも急カーブを描いているとしたら、生成AIのそれは他の技術よりもかなり早く幻滅期を迎えて不思議ではない。
大規模言語モデル(LLM)は、生成AIを構成する要素の一端に過ぎない。しかし、LLMにより生じた世間の幻滅は、より広範囲に及ぶ影響をもたらすことを研究者は理解している。
後編は、企業はAI技術の今後をどのように捉えているのかについて解説する。
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