「激安PC」を販売する慈善団体 なぜ売れまくるのか?広がる「中古IT機器」市場の裾野【後編】

衣料品のリセール(中古販売)やリサイクルを手掛けるSATCoLは、中古IT機器の販売に力を入れている。同社は衣料品と同程度まで中古IT機器の販売を増やす狙いだ。その販売活動とは。

2023年08月14日 05時15分 公開
[Caroline DonnellyTechTarget]

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 英国の慈善団体The Salvation Army(救世軍)の関連会社Salvation Army Trading Company(以下、SATCoL)は、従来は主に衣料品のリユース(再利用)やリサイクルを手掛けてきた。同社は近年、PCやモバイル端末といったビジネス用IT機器の分野に進出し、中古品の販売は好調だという。背景に何があるのか。

売れまくる中古IT機器 背景には何が?

 SATCoLは主に衣料品の回収を実施し、企業から提供される余剰在庫や不良在庫、返品された布製品の再利用(リユース)やリサイクル、リセール(中古販売)を実施してきた。同社は毎年、約6万5000トンの繊維製品の選別や処理を実施している。

 近年SATCoLは、PCやモバイル端末といったビジネス用IT機器の再利用にも本格的に取り組むようになった。回収したIT機器を英国の専用施設で処理し、同社のチャリティーショップ(慈善団体が運営する中古品の販売店)やEC(電子商取引)サイトなど、240カ所以上で販売する。SATCoLでサービスデベロップメントマネジャーを務めるリチャード・シア氏は、「IT機器回収の分野でも、数年以内に衣料品と同水準に到達できるよう、取り組みを拡大していく」と意気込む。

 IT機器を提供する企業に対して、SATCoLは電子廃棄物の回収料を請求していない。そのため企業は支出を削減しつつ、地球環境保護に貢献できる。同社は中古IT機器の販売価格を手頃な金額に設定しているため、通常はIT機器に手を出せない人でも購入しやすい。

 SATCoL は中古IT機器の販売で得た利益を、救世軍に寄付する。救世軍はその資金を、人身売買や強制労働の被害者を対象とした専門的支援や、ホームレスへの一時宿泊施設(シェルター)提供などに使用する。「この活動は英国の循環型経済の発展を支援するものだ」とシア氏は話す。

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