主に衣料品のリユースやリサイクルを手掛けてきたSATCoLは、PCをはじめとしたIT機器の再利用にも取り組みを広げている。同社が着目する「中古PCの可能性」とは。
PCやモバイル端末を含むビジネス用IT機器のリサイクルやリセール(中古販売)に取り組む動きが広がっている。Salvation Army Trading Company(以下、SATCoL)は、英国の慈善団体The Salvation Army(救世軍)の関連会社だ。同社は従来、衣料品の再利用(リユース)やリサイクルに取り組んできたが、近年はその取り組みを、PCなどIT機器に本格的に広げている。その目的は、単に慈善活動を推進することはでない。
SATCoLは、主に衣料品の回収を実施し、企業から提供される余剰在庫や不良在庫、返品された商品の再利用やリサイクルに取り組んできた。製品の耐用年数を延ばすための取り組みも実施し、毎年2億5000万点以上の廃棄を防いでいる。
IT機器の再利用にも取り組みを拡大する背景について、SATCoLでサービスデベロップメントマネジャーを務めるリチャード・シア氏は次のように説明する。「世界に存在する金の7%が電子廃棄物に含まれている可能性があるが、英国では毎年20万トンの業務用電化製品が一般廃棄物と一緒に捨てられている」
シア氏によると、ビジネス用と個人用の双方でIT機器の需要は急速に高まっている。「SATCoLの活動は、使用可能なIT機器を市場に増やすことにつながる」(同氏)。廃棄を減らせば地球環境保護につながる利点もある。SATCoLは、2025年までに5000台以上のIT機器を廃棄処分から救うという目標を設定している。
SATCoLはIT機器の再利用に当たり、データ消去用ソフトウェアを使用する。このソフトウェアは英国政府のデータ消去に関する標準規格「HMG Infosec Standard 5」に準拠するもので、英国警察や英国政府、英国家サイバーセキュリティセンター(NCSC:National Cyber Security Centre)の承認も受けている。同社はIT機器を安全な状態にし、クリーニングをした上で、独自の物流ネットワークを使ってIT機器の中古品を提供する。
後編は、SATCoLが中古IT機器の販売を通して実現したいことについて解説する。
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