データ消去済みの「中古PC」なら企業でも安全に使える?サステナブルなITと社会貢献【後編】

企業が環境に配慮した取り組みの一歩を踏み出すとき、できることは何か。データ消去ソフトウェアベンダーの取り組みを紹介するとともに、企業が取り組みやすい一例を紹介する。

2023年06月30日 05時15分 公開

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 「私たちの目標は、世界中の全ての人がコンピュータの使い方を学ぶ機会を平等に得られるようにすることだ」。英国の慈善団体The Turing Trustの創設者であるジェームズ・チューリング氏はこう語る。同団体がデータ消去ソフトウェアベンダーのBlancco Technology Group(Blancco)の協力を得て進める活動は、どのような意味を持つのか。

専門家が薦める「リファービッシュPC」とは

 チューリング氏は、「マラウイでの活動に専念する中で、使用済みのIT機器に新しい命を吹き込もうとする人々からの支援が、どれだけの発展をもたらすかを示すことができた」と話す。同氏によると、Blanccoとの連携を通じてThe Turing Trustが提供するPCの安全性が強化された。「より多くの組織が寄付を申し出てくれることを期待している」と同氏は述べる。

 Blanccoの最高財務責任者(CFO)アダム・モロニー氏は、企業におけるIT機器の管理についてこう語る。「企業が適切にデータ消去を実施していないため、物理的に破壊せざるを得ないIT機器が毎年生み出される」。環境への配慮が叫ばれる中、「IT機器に適切な処置を施さない管理方法は、到底サステナブルとは言えない」とモロニー氏は指摘する。

 モロニー氏は、The Turing Trustとの協業について「アフリカの子どもたちを社会的に排除せず、子どもたちがITを利用できるようにする取り組みに携わることができて光栄だ」と話す。同氏によると、子どもたちがITを利用できないことで、教育面での発達が損なわれることはあってはならないというのがBlanccoの総意だという。

 2022年6月、英Computer WeeklyはITにおける環境配慮の専門家に話を聞いた。専門家によると、企業が環境配慮の分野で貢献するためには、企業活動の中で生まれた廃棄物を再利用する循環型経済(サーキュラーエコノミー)を構築する必要があるという。

 ITの業界団体techUKで気候・環境・サステナビリティ担当アソシエイトディレクターを務めるクレイグ・メルソン氏は、企業が環境配慮の一環でできる取り組みを1つ挙げる。「リファービッシュ品」(整備済み品)の利用だ。リファービッシュ品は、初期不良で返品されたり、ユーザー都合で購入後すぐ返品されたりした後に、メーカーが整備して提供する製品を指す。

 企業でITの購買を担当する人はリファービッシュ品のデータに不安を抱く傾向があるが、メルソン氏は「中古のIT機器からデータを消去する適切な方法が確立しているため、心配する必要はない」と語る。

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