使い終わったIT機器の再利用を促す取り組みがある。データ消去ソフトウェアベンダーのBlanccoが、英国の慈善団体に寄付される使用済みIT機器の再利用に協力している。その取り組みを掘り下げる。
データ消去ソフトウェアベンダーのBlancco Technology Group(Blancco)が、英国の慈善団体The Turing Trustと共に、アフリカの学校における教育支援に関わる取り組みを進めている。The Turing Trustは、コンピュータサイエンスの研究者だったアラン・チューリング氏の親族が2009年に設立。マラウイ、ケニア、ガーナをはじめとしたアフリカ諸国の学校に、PCなどのIT機器やトレーニングを提供している。
Blanccoは自社の遠隔データ消去ソフトウェアのライセンスをThe Turing Trustに無償で提供している。具体的にどのような取り組みなのか。
使用済みのIT機器を安全に再利用するためには、機器に保存されている全てのデータを確実に消去することが必要だ。消去が十分でないと、次のユーザーが機器に残存する個人情報を悪用する可能性があるためだ。The Turing Trustに寄付されたデスクトップPC、ノートPCといった使用済みのIT機器は、Blanccoの協力を経て安全に再利用できるようになる。
これまでBlanccoは、2500台以上のIT機器のデータを消去。The Turing Trustが支援するアフリカ諸国の学校にIT機器が渡り、子どものITスキル習得に役立っている。
2019年1月、世界経済フォーラム(WEF)の支援を受けて国際連合が構成する組織 UN E-waste Coalitionが報告書「A New Circular Vision for Electronics: Time for a Global Reboot」を発表。世界では毎年約5000万トンの電子ごみが生まれ、そのごみは焼却されるか、世界の最貧国の埋立地へ投棄されることを明らかにした。
Blanccoとの協業についてThe Turing Trustは、IT機器の迅速かつ大規模なリサイクル、再利用を加速させ、電子ごみの増加を抑制することが目的だと説明する。
The Turing Trustは年次報告書「Annual Report 2021」で活動結果を報告した。同年、合計11万6000人の子どもが同団体の活動を通じてITスキルを習得し、3452台のPCが学校に提供された。この取り組みにより、966トン相当の二酸化炭素(CO2)排出量の削減につながった。
後編は、環境に配慮した企業活動を実施するためには何ができるのか、Blanccoの例から検討する。
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