小中学校の授業向けIT製品徹底ガイド【第6回】
「デジタル教科書」で優先すべきなのは指導者用? 学習者用? その答えと理由
教育用デジタルコンテンツである「デジタル教科書」「デジタル教材」は、児童生徒の関心を引きやすく、教育現場での活用が期待されている。主要な利用者別に分けた場合の長所と短所、選び方のポイントとは何か。
第5回「教育IT推進に不可欠な『デジタル教科書』『デジタル教材』『学習用ツール』とは」では、教育分野におけるデジタルコンテンツ「デジタル教科書」「デジタル教材」およびソフトウェア「学習用ツール」の定義と、その役割を解説した。第6回では、そのうちデジタル教科書とデジタル教材をそれぞれタイプ別に分類し、それらのメリットとデメリット、選び方を説明する。
併せて読みたいお薦め記事
小中学校の授業向けIT製品徹底ガイド
さまざまなコンテンツを使った教育活動
デジタル教科書のタイプ別解説
主要なタイプ
デジタル教科書は、想定利用者の違いによって「指導者用」と「学習者用」に分類できる。指導者用デジタル教科書は主に教員が利用し、学習者用デジタル教科書は児童生徒が利用する。デジタル教科書の導入によって、動画やアニメーションなどを活用することで、児童生徒の関心を引きやすくなる。教科書への積極的な書き込みで、児童生徒の考え方を可視化することも容易になる。
各タイプのメリット、デメリット
指導者用と学習者用のデジタル教科書のメリット、デメリットは以下の通りだ。
| タイプ | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 指導者用 | ・書画カメラがなくても、大型提示装置と指導者用コンピュータだけで、教科書の内容を簡単に拡大提示できる | ・多くの内容は紙の教科書に記載されており、書画カメラがあれば紙の教科書で代用できる |
| 学習者用 | ・児童生徒一人での学びを促進できる ・教科書の内容に関連した動画や資料などの付随コンテンツを閲覧しやすい |
・個別学習で利用する際は、人数分のライセンス購入と学習者用コンピュータが必要になる |
デジタル教科書の選び方のポイント
学習者用デジタル教科書を使いこなすには、教員と児童生徒両方のIT環境への慣れだけではなく、ハードウェアの整備も必要となる。一方で指導者用デジタル教科書は指導者用ハードウェアがあればよいため、IT環境整備が行き届いていない環境でも活用可能だ。価格面でも、一般的には学習者用デジタル教科書よりも指導者用デジタル教科書の整備費用の方が安価なため、まずは指導者用デジタル教科書を整備した方がよい。IT環境を先行して整備した自治体において活用率が高いのは、たいてい指導者用デジタル教科書だ。
デジタル教材のタイプ別解説
主要なタイプ
デジタル教材はデジタル教科書と同様に、想定利用者の違いによって「指導者用」と「学習者用」に分類できる(図)。一般的には指導者用デジタル教材は一斉提示型教材、学習用デジタル教材は個別学習型教材だ。第7回で紹介する学習用ツールは製品のパッケージにデジタル教材を含むことが珍しくないため、製品としての切り分けが難しいが、本稿は主に「個別学習用のデジタル教材」を対象とする。
各タイプのメリット、デメリット
指導者用と学習者用のデジタル教材のメリット、デメリットは以下の通りだ。
| タイプ | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 指導者用(一斉提示型) | ・教員が自分で教材を作る必要がない ・大型地図など昔からの「掛図」と同じ役割を持つため、教員にとってなじみがあり活用しやすい |
・デジタル教科書も同様の機能を有する場合がある ・カスタマイズは難しい場合がある |
| 学習者用(個別学習型) | ・児童生徒一人での学びを促進できる ・管理機能がある場合、管理画面を通して教員が進行度や理解度を確認できる |
・少なくとも授業中は、1人1台の学習者用コンピュータが必要になる |
学習者用デジタル教材の選び方のポイント
学習者用デジタル教材は、教員が児童生徒の進行度や正答率などを見るための管理画面が重要だ。この管理画面が優れており直感的に操作できればできるほど、児童生徒個人に対し効果的に指導できる。さらに、クラスに所属する多くの児童生徒が間違えている問題を、クラス全体で復習することも可能となる。
第7回では、学習用ツールのタイプ別メリットとデメリット、選び方の要点を取り上げる。
執筆者紹介
高橋 純(たかはし・じゅん) 東京学芸大学教育学部准教授 博士(工学)
1972年神奈川県生まれ。修士(教育学)、博士(工学)。園田学園女子大学情報教育センター助手、富山大学人間発達科学部准教授を経て、現在、東京学芸大学教育学部准教授。教育工学、教育方法の改善、教育の情報化に関する研究に従事。第17回日本教育工学会研究奨励賞受賞。中央教育審議会専門委員(初等中等教育分科会)、学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議委員、日本教育工学協会副会長など。
粟田 輝(あわた・あきら) チエル社長室長
1982年広島県生まれ。2008年、慶應義塾大学大学院理工学研究科・開放環境科学専攻修了。2008年、日本総合研究所入社。2018年から現職。これまで教育関連企業向けのコンサルティングを多数実施し、企業の目線から教育現場へのIT導入などを推進。最近は各種執筆や勉強会での講演など、精力的に活動している。
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小中学校の授業向けIT製品徹底ガイド
教育機関に役立つIT製品には、どのようなものがあるのか。本連載では急速にIT化が進む小中学校の授業でのIT活用に焦点を絞り、幾つかのカテゴリーに分けて、授業に役立つ主要なIT製品分野を紹介し、各IT製品分野の選定ポイントをまとめる。
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