小中学校の授業向けIT製品徹底ガイド【第5回】
教育IT推進に不可欠な「デジタル教科書」「デジタル教材」「学習用ツール」とは
ハードウェアを整備しただけでは、教育ITの活用はうまくいかない。利用するデジタルコンテンツやソフトウェアにはどのようなものがあるのか、その概要を解説する。
第3回「タブレット、ノートPC、2-in-1――児童生徒用コンピュータは何を選ぶべきか?」と第4回「タブレットを充電しながら収納できる『充電保管庫』の失敗しない選び方」では、児童生徒が利用するタブレットやPCなどの「学習者用コンピュータ」と、その保管に利用できる「充電保管庫」を紹介した。これらを総称して「学習者用ハードウェア」と呼ぶ。
一方「指導者用ハードウェア」は、指導者が利用するタブレットやPCなどの「指導者用コンピュータ」や、電子黒板をはじめとする「大型提示装置」、書画カメラとも呼ばれる「実物投影機」などを指す。第5回は、指導者用ハードウェアや学習者用ハードウェアを整備する際、同時に整備すべきものとして「デジタルコンテンツ」や「学習用ツール」を取り上げる。
併せて読みたいお薦め記事
小中学校の授業向けIT製品徹底ガイド
さまざまなコンテンツを使った教育活動
- 三鷹中等教育学校が「Minecraft」を活用 ゲームに不慣れな先生でも使える?
- 「マイクラならでは」を先生も子どもも意識 小中学校の「Minecraft」導入事例
- プログラミング教育だけではない 最新技術で児童、生徒の理解を引き出す教材
教育ITの理想と現実
「デジタル教科書」「デジタル教材」「学習用ツール」とは
教育分野におけるデジタルコンテンツは、主に「デジタル教科書」「デジタル教材」だ。文部科学省が2016年12月に発表した資料「『デジタル教科書』の位置付けに関する検討会議 最終まとめ」では、デジタル教科書を「教科書の使用義務の履行」に際して利用可能なデジタルコンテンツと位置付けている。
デジタル教科書
デジタル教科書は個別学習やグループ学習をはじめ、さまざまな場面における活用が見込める。同資料および2018年12月発表の資料「学習者用デジタル教科書の効果的な活用の在り方等に関するガイドライン」において、同省がデジタル教科書に求める要素は以下の通りだ。
- 紙の教科書と同一の学習内容を持つ
- 紙の教科書と併用する
- 利用時間は、各教科で実施する授業時数の2分の1未満にする
デジタル教材
デジタル教材とは学習を促進するための動画・アニメーション、ドリル・ワーク、参考資料などを指す。デジタル教材をデジタル教科書の補助教材として活用し、両者を一体的に利用することが望ましい。
学習用ツール
学習用ツールに関して、文部科学省の資料「平成30年度以降の学校におけるICT環境の整備方針について」は、「ワープロや表計算、プレゼンテーションなど、学習活動に共通で必要となるソフトウェアのこと」だと定義している。2019年6月に文部科学省が取りまとめた「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」には、児童生徒が互いに教えて学び合う「協働学習」を支援するツールも学習用ツールの例として登場するため、本稿では学習活動に必要なソフトウェア全般として、学習用ツールを取り上げる。
デジタルコンテンツの整備で授業のIT活用を促進
デジタルコンテンツを整備することで、指導者用ハードウェア、学習者用ハードウェアを使いこなすための環境を整備できる。前回までに紹介した以下のような活用法は、デジタルコンテンツや学習用ツールなしには達成し得ない。
- 表計算ソフトウェアによる情報の整理、分析
- ワープロ、プレゼンテーションなどのソフトウェアによる情報のまとめ、表現
- ドリルなどの教材による繰り返し学習
- デジタル教科書やデジタル教材の一斉提示
第6回では、デジタル教科書とデジタル教材をそれぞれタイプ別に分け、それらのメリットとデメリット、選び方について紹介する。
執筆者紹介
高橋 純(たかはし・じゅん) 東京学芸大学教育学部准教授 博士(工学)
1972年神奈川県生まれ。修士(教育学)、博士(工学)。園田学園女子大学情報教育センター助手、富山大学人間発達科学部准教授を経て、現在、東京学芸大学教育学部准教授。教育工学、教育方法の改善、教育の情報化に関する研究に従事。第17回日本教育工学会研究奨励賞受賞。中央教育審議会専門委員(初等中等教育分科会)、学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議委員、日本教育工学協会副会長など。
粟田 輝(あわた・あきら) チエル社長室長
1982年広島県生まれ。2008年、慶應義塾大学大学院理工学研究科・開放環境科学専攻修了。2008年、日本総合研究所入社。2018年から現職。これまで教育関連企業向けのコンサルティングを多数実施し、企業の目線から教育現場へのIT導入などを推進。最近は各種執筆や勉強会での講演など、精力的に活動している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
小中学校の授業向けIT製品徹底ガイド
教育機関に役立つIT製品には、どのようなものがあるのか。本連載では急速にIT化が進む小中学校の授業でのIT活用に焦点を絞り、幾つかのカテゴリーに分けて、授業に役立つ主要なIT製品分野を紹介し、各IT製品分野の選定ポイントをまとめる。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
使用中のデータを保護して安全な共同開発へ、クラウド時代のデータセキュリティ -
製品資料
“AIによる高速な脆弱性検出”対策を行う、RHELの統合セキュリティ機能とは? -
製品資料
企業ITを支える定番Linuxの運用管理、手動の限界を乗り越える手法とは? -
製品資料
AIとクラウドネイティブの課題を解決する、シンプルで費用対効果に優れた方法 -
製品資料
ITリーダーのための「クラウドネイティブ戦略」ガイド
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ人はいるのにDXが進まない? ライオンも直面した“老害”レガシーシステム
-
2
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
3
【漫画付き】"RAG導入失敗3例"と処方箋 「入れても使われない」を終わらせる
-
4
イーロン・マスク氏が生成AI「Grok」をオープン化する“語られない狙い”
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「夜間バッチ遅延」「保守の属人化」の恐怖 “全面刷新しない”ERP移行の教訓
-
7
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
-
8
IT人材の42%が転職予備軍 辞めさせない組織の4つの共通
-
9
「ITインフラとデータ保護・バックアップ対策」に関するアンケート
-
10
NVIDIA値上げの波紋 GPU非購入企業にも及ぶ「2027年IT予算」増大のリスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
属人化や仕様バグはなぜ起きる? AI時代に必須のドキュメント文化の作り方
-
2
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
3
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
中小企業必見、Microsoft 365でゼロトラストセキュリティを実現する方法
-
6
5分で分かる「AI駆動開発エージェント」 要件定義から設計・実装・テストまで
-
7
動画で知るランサムウェア被害企業のリアル、会計データが無事だった理由とは
-
8
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
9
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
10
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー