近年、ITを活用した学校教材が数多く登場している。プログラミング教育用途のものはもちろん、「VR」「VOCALOID」などの最新技術を使い、既存の科目の学習を補助する教材もある。
近年、ITを活用した学校教材が数多く登場している。これらの教材は、簡単で利用しやすいことや、ビジュアルで分かりやすいこと、学習者のアイデアを可視化し、試行錯誤しながら作業を進められることが持ち味のようだ。今回は2018年5月16~18日に開催された「第9回 教育ITソリューションEXPO」を基に製品動向を探る。
学習指導要領の改定により、2020年に小学校のプログラミング教育が必修化される。加えて2021年1月から、大学入試センター試験に代わり「大学入学共通テスト」が実施される。政府は2018年5月、大学入学共通テストにプログラミングなどの情報科目を導入することを検討していると発表した。教員の指導要領への対応が急がれる中、プログラミング初心者の教員や学習者でも、簡単に利用できる教材が増えている。特にプログラミングをモノと連携させることで、結果を分かりやすく可視化できる製品が充実し始めている。
ソニーの「MESH」はプログラミングの知識がなくても、モノをインターネットにつなげるIoT(Internet of Things)の仕組みが作れるキットだ。本製品は、温度や明るさ、動きなどを検知するセンサーやスイッチを持つ7種類のブロックで構成されている。専用アプリケーションを使い、画面に表示されるブロックのアイコンをつなぎ合わせるだけで、ブロックを制御するプログラムを作ることができる。各種ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)やネットワーク接続型家電(IoT家電)とブロックを連携させることで、「明るさが変わったら音楽を再生する」「温度が30℃になったらモーターで風を起こす」などの仕組みを作ることが可能だ。導入校では、教員が学習者に向けて「ホームセキュリティ」などの課題を出し、MESHを使ったプログラミングによる解決方法を考えるといった使い方がなされている。現在、専用アプリケーションはiOSとAndroid用のみの提供だが、2018年6月にWindows 10用を提供するという。価格はブロック単品が5537円(税別、以下同じ)~、7個全てのブロックが入った「MESHアドバンスセット」が3万5167円。
シャープはモバイル型ロボット「ロボホン」を使ったプログラミング教育を提案している。本製品は子ども向けのプログラミングツール「Scratch」と連携させることで、会話、歌、ダンスなど、入力した言語に応じた動作をさせることが可能だ。低学年の児童でも簡単に動かせるという。担当者はロボットを実際に動かし、試行錯誤を繰り返すことで論理的思考力を養うことができると説明している。
ロボホン用のクラウドアプリケーション「SR-B04AT」は2018年6月に発売。ロボホンの主な機能をブロック型のオブジェクトにまとめ、ドラック&ドロップなどの簡単な操作でプログラミングができるビジュアルプログラミングツールだ。ロボホンとWebブラウザを稼働させている端末を同一の無線LAN環境に接続させることで連携可能だ。ロボホン1台に対し、複数のSR-B04ATをアクセス待機状態にすることができる。同社の担当者は、「プログラミングの成果が目に見えることで、子どもの興味を維持しやすい」と話す。
価格は無線LAN対応のロボホンが1台当たり13万8000円。法人向けクラウドサービス料は1台当たり年額1万円、Scratch連携用プログラムがPC1台当たり7万8千円。SR-B04ATはオープンプライスで、1校単位のライセンス体系になるという。
ITを活用した教材の使用が期待されるのは、プログラミング分野だけではない。拡張現実(AR)、仮想現実(VR)技術を用いて、既存の科目の教育学習を補助する教材が市場に登場しつつある。映像や立体画像で分かりやすく、直感的に学べることで、生徒の理解やモチベーションアップを促す。
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