今の子どもはキーボードよりフリック入力――“教員の卵”がタブレットに注目する訳“教員の卵”×iTeachers座談会【第1回】

教員を目指す学生は、教育機関で進むIT活用にどう向き合い、どうITを活用しようとしているのか。教員との座談会から明らかにする。

2018年01月26日 05時00分 公開
[栃尾江美]

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 教育機関の間でIT活用が広がる中、新米教員が初めて教壇に立ったときからITを活用することは、珍しいことではなくなった。これからの教員は、数ある教育手段の1つとしてITと向き合い、適切に使いこなしていくことが求められる。

 教員を目指す“教員の卵”は、教育機関でのIT活用について、どのように考えているのだろうか。それを明らかにすべく、大学教員と、教員を目指す大学生との座談会を開催した。現役の教員側、これから教員になる学生側それぞれの立場で、思うところを赤裸々に語ってもらった。

 第1回は座談会の議論の中から、教育機関のIT導入の代名詞ともいえる「タブレット」に関する内容を中心に紹介する。大学教員側は、教育現場へのIT活用を実践する教育者チーム「iTeachers」のメンバーであり、玉川大学准教授の小酒井 正和氏。学生側は同大学の学生である相原拓実さんと加藤千春さんが参加した。モデレーターはiTeachersのメンバーで、NPO法人(特定非営利活動法人)のiTeachers Academyで事務局長を務める小池幸司氏。

参加者(所属・役職は取材時)

小酒井 正和氏 玉川大学工学部マネジメントサイエンス学科准教授

相原拓実さん 玉川大学工学部マネジメントサイエンス学科3年

加藤千春さん 玉川大学工学部マネジメントサイエンス学科3年

モデレーター

小池幸司氏 iTeachers Academy事務局長


タブレットが標準デバイスへ

小池氏 教育機関の間では、授業用デバイスとしてタブレットを導入する動きが続いています。教員志望の相原さん、加藤さん共に、授業でのタブレット活用に前向きだと聞きました。お二人はタブレットのどのような点に注目していますか。

写真 玉川大学の加藤千春さん

加藤さん 軽くて薄いタブレットは持ち運びが簡単で、校舎の内外を問わずいろいろな場面で活用しやすいのが魅力的です。ノートPCも外に持ち出すことはできますが、タブレットの手軽さにはかないません。

相原さん ノートPCの場合、カメラ搭載機種でもWebカメラ用のインカメラしか備えていないことが一般的で、例えば遠足で写真を撮ることすらままなりません。タブレットであれば、インカメラだけでなくアウトカメラを内蔵しているものが多く、かつ本体も軽量なので、手軽に撮影できます。

小酒井氏 「遠足でタブレットを使う」という発想が自然に出てくるんですね。

写真 玉川大学の相原拓実さん

加藤さん スマートフォン感覚で入力できることも、タブレットのメリットです。例えばAppleの「iPad」であれば仮想キーボードによる入力に加えて、設定をすればスマートフォンと同様のフリック入力ができます。

相原さん 「キーボード入力よりも、スマートフォンのようなフリック入力の方が扱いやすい」と感じる子どもは少なくないはずです。PCを使い慣れた人であれば「文字を入力するのであればキーボードがあった方がよいのではないか」と思いますよね。でも今の子どもが使い慣れているのは、PCではなくスマートフォンなのです。

「タブレット1人1台」が実現する授業

小池氏 先駆的にタブレットを活用してきた教育機関を中心に、学習者のタブレット1人1台環境の整備を進める動きがあります。1人1台環境を前提にした場合、どのような授業を実現したいと考えていますか。

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