学習者一人一人がタブレットを持ち、板書を電子的に共有可能にした環境であれば、学習者は板書の書き写しに忙殺されなくて済む。それは良いことばかりなのだろうか。教員志望の学生と教員が議論する。
第1回「今の子どもはキーボードよりフリック入力――“教員の卵”がタブレットに注目する訳」に引き続き、大学教員と、教員を目指す大学生との座談会の内容を紹介する。第2回は座談会の議論の中から、タブレットや電子黒板、プロジェクターなどの組み合わせで実現する授業環境について、その可能性と課題に関する内容をピックアップして紹介する。
座談会の参加者は、玉川大学准教授の小酒井 正和氏と、同大学の学生である相原拓実さん、加藤千春さん。モデレーターはNPO法人(特定非営利活動法人)のiTeachers Academyで事務局長を務める小池幸司氏だ。小酒井氏と小池氏は、教育現場へのIT活用を実践する教育者チーム「iTeachers」のメンバーでもある。
小酒井 正和氏 玉川大学工学部マネジメントサイエンス学科准教授
相原拓実さん 玉川大学工学部マネジメントサイエンス学科3年
加藤千春さん 玉川大学工学部マネジメントサイエンス学科3年
小池幸司氏 iTeachers Academy事務局長
小池氏 教員が授業でタブレットを活用する際は、プロジェクターや電子黒板と併用することが一般的です。黒板やホワイトボードに教員や学習者が持つタブレットの画面を大きく投影すれば、クラス全体でその画面を共有できます。
加藤さん 私が学習支援ボランティアをしている中学校でも、黒板にタブレットの画面を投影して授業をする教員がいらっしゃいます。1年生の英語で、英単語を投影して子どもたちにその日本語訳を答えてもらう、といった授業を実践されています。
小池氏 タブレット画面の投影には、黒板メーカーのサカワが提供するiOS/Windows向けの「Kocri」のような、一般的なプロジェクターと併用する投影アプリケーションも便利です。例えば数学の関数のグラフに関する授業で、黒板に座標だけを映し出しておき、関数やグラフなどの要素をチョークで板書する、といった使い方ができます。
相原さん 数学で出てくる立体やその切断面などは、板書でうまく描くのが難しい。陰影や奥行きなどを精細に描いた図形を投影すれば、学習者に分かりやすく伝えることができそうです。
小酒井氏 静止画の図形だけでなく、図形の動きも表現したいのであれば、iOSやAndroid向けの「Geometry Pad」のような図形アプリケーションも役立ちますね。
小池氏 プロジェクターや電子黒板を使って板書を投影する場合、その板書ファイルを学習者に渡せば、学習者にとっては板書を書き写す必要がなくなります。スマートフォンなどのカメラを使った板書撮影を許可するのも同様です。
相原さん タブレットでの表示用に板書のファイルを学習者に配布すれば、マーカー機能で重要なポイントだけに線を引いてもらったり、ノートにメモ書きしてもらったりすることが可能になります。そうすれば限られた授業時間を有効に使えるようになるはずです。
小池氏 ただし効率化につながる一方で、学習者にとっては手で文字や図などを書く機会が減ってしまう可能性があります。
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