カリフォルニア州立大学フラトン校が、会計学の講義の一つとして「RPA」ツールや「BI」ツールを扱う講義を開講した。これらのツールの使い方を実践的に教える講義は、大学や学生にどのような効果をもたらすのか。
ヘザー・ビディンガーさんはカリフォルニア州立大学フラトン校(CSUF:California State University, Fullerton)の4年生だ。ビディンガーさんは、会計のことをあまり知らずに会計学を専攻に選んだ。自分が数字に強いことは分かっていた。会計学とはペンと紙を使って大量の計算をするものだと考えていた。
会計学の講義を幾つか受け始めてすぐに、「計算は会計学の一部にすぎない」とビディンガーさんは気付いた。最近の経理担当者は「ロボティックプロセスオートメーション」(RPA)ツールといった業務自動化ツールや、「ビジネスインテリジェンス」(BI)ツールなどのデータ分析ツールに大きく依存していた。「経理担当者は何十万行ものデータを扱っている」とビディンガーさんは話す。
最近CSUFは会計学の講義の一つとして、RPAツールやデータ分析ツールに学生が慣れるための講義を開講した。この講義では、UiPathの同名RPAソフトウェアや、Alteryxの同名データ抽出ソフトウェア、MicrosoftのBIツール「Microsoft Power BI」、Tableau SoftwareのセルフサービスBIツール「Tableau」などを扱う。
CSUFは、UiPathが提供する教育支援プログラム「UiPath Academic Alliance」に参加している。このプログラムはUiPathが大学などの高等教育機関や就職支援機関と提携するために用意したもので、同社のソフトウェアを学生に広く普及させるための手段だ。ビディンガーさんはこのプログラムを修了し、大学卒業後に経理担当者として働くのに必要なスキルを習得している。
企業はRPAツールや分析ツール、人工知能(AI)技術を受け入れ、業務に取り入れている。大学やオンライン教育事業者は、こうしたIT製品の習熟を主体とする講義を提供し始めた。ベンダー自体もそうした講義を提供するようになっている。
UiPathなどのベンダーも、大学と提携して学生に最新技術を教えている。RPAツールやBIツールなどの基本スキルを学ぶことは、学生にとってもメリットがある。コンサルティング会社McKinsey & Companyが2018年と2020年に発表した調査結果は、企業が業務自動化や業務のデジタル化の取り組みを強化する中で、関連するスキルの需要が高まっていることを示している。
こうした変化を受けて、CSUFで会計学を教えるエイプリル・モリス教授は、プログラミング言語「Python」、UiPath、Alteryx、Tableau、Power BIをプロジェクト方式で学部生に体験してもらう新しい講義を開講した。「こうした製品に関する技術は、卒業生の成功を左右する」とモリス氏は話す。
高校時代にコンピュータサイエンスの講義を受講した経験があるビディンガーさんにとって、講義で扱ったツールは「十分理解しやすい」ものだった。ハイペースな講義だったにもかかわらず、ビディンガーさんはさまざまなツールの幾つかを短期間で習得した。習得が短期間で済んだ理由の一つは、これらのツールのユーザーインタフェース(UI)は概して複雑な操作が必要なく、ドラッグ&ドロップといった直感的な操作が可能だったことだ。
膨大なオンライン資料を活用できたことも、ツール習得の迅速化に寄与した。ビディンガーさんはRedditが運営する同名ソーシャルニュースサイトでTableau関連の情報を交換するコミュニティーグループに参加。Discordが提供する同名ボイスチャットツールでAlteryxの情報を共有するグループにも参加した。その結果、これらのツールを理解する道が広がったという。
後編は、引き続き大学における講義事例と、講義に対する学生の評価を紹介する。
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