主にWeb会議ツールを使う点で、オンライン授業とWeb会議には大きな違いはない――。こうした考え方には、オンライン授業における“ある課題”が考慮されていない可能性がある。
インターネットを活用した教育「オンライン教育」には、メリットだけではなく課題もある。前編「『オンライン教育』を“コロナ対策”で終わらせようとしていないか?」に続く本稿は、オンライン教育の中核要素であるオンライン授業に焦点を当て、その課題を整理する。
Web会議ツールを使ったオンライン授業は、ビジネスにおけるWeb会議よりもはるかに難しい可能性がある。オフィスの会議室でWeb会議ツールを使うときには、簡単な条件を満たせば快適に会議を実施できると筆者は考える。例えば
といったことだ。
教室は一般的に会議室よりも広い。参加者も会議よりも授業の方が多い傾向にある。教室からの参加者(対面学習者)と自宅からの参加者(リモート学習者)がいるハイブリッド授業の場合、対面学習者全員の顔を画面に映すことが難しい可能性がある。
ハイブリッド授業では、対面学習者がカメラのすぐそばにある机に座るとは限らない。教室内に設置された机にバラバラに広がって座るケースもある。ハイブリッド授業を実施する場合は、複数のビデオカメラを用意して教員と対面学習者をそれぞれ異なるアングルで撮影することが望ましい。
さらに重要なのは、授業は会議よりもはるかに動的だということだ。教員は授業のために教室のさまざまな場所を使う。教員が学習者をワークグループに分けて、グループごとに教室内の異なる場所で学習をしてもらうケースや、教員と学習者が別教室に移って普段とは全く異なる活動をするケースもある。
こうした要因が、オンライン授業の計画や実施を難しくしている。確かに学習者にとっては、授業に全く参加しないよりも、オンライン授業に参加した方がよいと考えられる。ただし教員が自席から自分のPCだけを使って実施するオンライン授業は、対面授業や工夫をこらしたオンライン授業と比べると、学習体験としてはるかに劣る可能性がある。理想は、より質の高いカメラを使って、適切な画面構成で教員を撮影し、リモート学習者が教室と同じ視点で教員を見られるようにすることだ。対面授業が教育に効果的であることは分かっている。オンライン授業でも、それをまねられるとよい。
後編は、対面授業で得られるメリットをオンライン授業で再現する方法を探る。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
サイバー攻撃の脅威から自社を守るには、従業員のセキュリティ教育を効率的・効果的に行い、一人一人の意識を向上させることが重要だ。その実践を“自動化”でサポートするサービスを取り上げ、機能や特徴を紹介する。
技術系キャリアを検討する女子生徒は増加傾向にあるものの、全体的に見た割合は十分ではない。IT分野が女子生徒から敬遠されてしまう理由とは。
オンライン教育の導入により、教育機関はさまざまな場所に存在する学習者の主体的な学習を促し、評価する必要に迫られた。その有力な手段となり得るデータ分析の取り組みを事例と共に紹介する。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を契機にオンライン教育が普及した。これに伴い、教育活動で収集するデータの分析や活用に教育機関が頭を悩ませている実態が浮き彫りになった。
学生や教職員など多様な立場の人が関わる大学で、誰もが満足するIT製品・サービスを導入するのは至難の業だ。テネシー大学の事例から5つのこつを紹介する。
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。