「オンライン教育」を“コロナ対策”で終わらせようとしていないか?理想的な「オンライン授業」のつくり方【前編】

インターネットを使った「オンライン教育」の導入が広まりつつある。一方で、その効果的な実施には壁もある。存在する壁の正体と、解決方法を探る。

2022年05月16日 05時00分 公開
[David MaldowTechTarget]

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)は教育機関に影響を与えた。教育機関は、学習者や教員の安全性を確保しつつ、対面教育の利点を享受するための落とし所を探している。落とし所として考えられる一つの方法に、インターネットを活用した教育である「オンライン教育」がある。すぐにでも安全に対面教育ができるようになることを願いつつ、教育機関はオンライン教育をしばらく続けると考えられる。

 パンデミック期間中に、教員が授業映像を一方通行で配信する映像授業は、全く授業をしないよりはよいということが明らかになった。病気や私的理由で授業を休まなければならない学習者もいる。そうした学習者が教育の機会を失うことは、もはや考えられない。

「オンライン教育」を“コロナ対策”で終わらせてはいけない

 こうした変化を考えると「教育の未来像」に、映像授業のインターネット配信を含むオンライン教育を組み込む意味は大きい。それでもオンライン教育は新たな標準とはならない可能性がある。パンデミックがその短所を示したからだ。教員や学習者が対面教育を中心とした物理的な学級体験を好むことが、その背景にある。

 オンライン教育にWeb会議ツールを使うと、教室で体験するようなコミュニケーションやつながりを再現できる。だが今日のWeb会議技術では、クラスメートや教員と「同じ部屋にいる感覚」を再現することは難しい。例えば教員や学習者が誰かの腕に触れて注意を促すことはできない。こうしたことができれば授業中のコミュニケーションはさらに簡単になると考えられる。

 筆者は、オンライン教育よりも対面教育の方が好ましいと考えている。だが、なんらかの理由で対面教育に参加することができず、パンデミックの収束後も質の高いハイブリッド教育(対面教育とオンライン教育の両方を取り入れた教育形式)を受けたいと考える学習者もいる。Web会議ツールは教育機関にとって、パンデミックによる思い付きを実現するツールではなく“教室の一部”にならなくてはならない。


 中編は、対面授業で得られるメリットをオンライン授業で再現する方法を探る。

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