いち早くIT化を進めることで、パンデミックの難局を乗り越えたオランダの教育機関。IT活用をさらに進める一方で、セキュリティ意識にも変化の兆しがある。
自国の経済が、知識を基盤とした経済である「知識型経済」であることを、オランダは認識している。知識型経済の成長性を高める上で教育は重要だ。教育機関が保有するデジタルスキルと教育課程におけるIT活用に関して言えば、オランダは欧州でも有数の水準にある。
オランダは校務のIT化を進めており、通信インフラも整備してきた。そのためオランダの教育機関は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)にも比較的迅速に対処できた。
パンデミックによって教育機関のIT活用は加速した。だが娯楽目的ではなくシミュレーションや教育に活用されるゲーム分野「シリアスゲーム」、拡張現実(AR)、ラーニングアナリティクスなど、教育機関がまだ十分に活用できていない技術もある。
教育機関のITサービス/製品への依存度は高まり続けると考えられる。教育関係者は、依存度が高まることに伴うセキュリティリスクの高まりを十分に認識しなければならない。
オランダの教育機関の間で、セキュリティ強化に関する動きがある。例えばオランダ中等教育学校協議会VO-raadが2021年3月、Googleのオフィススイート「Google Workspace」を使用する初等教育機関と中等教育機関のプライバシーリスクについて、Googleなどのベンダーに向けて警鐘を鳴らした。この動きをきっかけにオランダでは、セキュリティとプライバシーの問題に関心がある教育機関の関係者を対象としたプロジェクト「Netwerk IBP」(情報セキュリティとプライバシーネットワーク)が発足した。
セキュリティ向上の動きはあるものの、オランダの教育機関で働く全ての人の意識を高めるためには、さらなる取り組みが必要になる。攻撃者を寄せ付けないようにするセキュリティ対策の維持・強化が不可欠だ。
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