旧式のITインフラやシステムを刷新するに当たり、京都大学は「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)を採用した。システムが抱えていた課題は、なぜオンプレミスでは解決できなかったのだろうか。
京都大学は基幹システムの運用基盤を、旧来のオンプレミスからAmazon Web Service(AWS)の「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)へと移行した。主な目的はシステムの可用性確保と事業継続計画(BCP)/災害復旧(DR)対策だ。同大学でITインフラの運用を担当する永井靖浩氏が、2019年6月12日開催のイベント「AWS Summit Tokyo 2019」で講演した内容を基に、インフラ移行の実例を紹介する。
2014年から2015年にかけて、京都大学は全学のシステムを1つの施設に集約し、学生と教職員が利用するポータルサイトや業務システムなどを運用していた。一方で学生用・教職員用メールシステムやグループウェアなどの業務アプリケーションについて、利用者からパフォーマンス面への不満が出ていた。
そうした折、2014年8月に広島県で豪雨による土砂災害が発生、2016年4月には熊本県で最大観測震度7の地震が発生するなど、西日本で大きな自然災害が相次いだ。これらのニュースを受けて京都大学のITインフラ運用における危機感がいっそう募ったという。同大学のメインキャンパスである吉田キャンパスは「花折断層」という活断層付近に位置しており、そこに起因する地震が発生した場合、同大学が甚大な被害を受けることは必至だったからだ。
これらの問題に対して、可用性の確保と、事業継続計画(BCP)に基づくディザスタリカバリー(DR)を実現するために、京都大学は2017年にクラウドへのシステム移行に踏み切った。
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