学校を襲うランサムウェア攻撃【中編】
学校を襲うランサムウェアはなぜ「Chromebook」よりも「Windows」を狙うのか
教育機関を狙ったランサムウェア攻撃の標的になりやすいのは、「Chromebook」や「iPad」よりも「Windows」デバイスだという。それはなぜなのか。
2020年11月の連休前にランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃を受けたことが判明した米国のボルティモア公立学校区(BPCS)は、急なインシデント対処に追われた。BCPSはFacebookに2020年11月28日に掲載した声明で、児童生徒に配布した「Chromebook」や「Google Account」(Googleアカウント)は攻撃の影響を受けなかったことを明らかにした。一方でBCPSは、指示するまで「Windows」搭載デバイスを利用しないでほしいと発表した。
併せて読みたいお薦め記事
ランサムウェア攻撃の被害と対策例
ランサムウェア攻撃に立ち向かうには
なぜChromebookやiPadよりもWindowsデバイスが狙われるのか
セキュリティ専門家やセキュリティベンダーによると、一般的なランサムウェアは教育用デバイスとして普及しているChromebooksや「iPad」よりも、Windows搭載デバイスを標的とする傾向がある。それはなぜなのか。
「学校を狙ったランサムウェア攻撃の標的は、ほぼWindowsデバイスに限られる」。教育コンサルティング企業EdTech Strategiesの創業者でプレジデントのダグ・レビン氏は、自身の経験を基にこう話す。
「Chromebookを狙うランサムウェアもあるが、学校を狙うものの中ではあまり見掛けない」と、エンドポイントセキュリティベンダーSentinelOneで世界販売エンジニアリング担当シニアバイスプレジデントを務めるジャレド・フィップス氏は語る。セキュリティベンダーMalwarebytesのディレクターであるアダム・クジャワ氏も、Chromebooksや「Mac」といった非Windowsデバイスを狙うランサムウェア攻撃は「それほど一般的ではない」との見方を示す。
なぜWindowsデバイスが狙われるのか。「攻撃者は『教育を受ける人々』ではなく『学校が教育を提供できる能力』を狙っているのではないか」とフィップス氏はみる。
データをほとんどデバイス内に保持しないことがChromebookの特徴だ。つまりランサムウェアがデータを暗号化したり抜き取ったりしても最低限のダメージしか残らない。デバイスに直接インストールして利用するネイティブアプリケーションは「ランサムウェア攻撃の発端となるフィッシング(詐欺)に利用されることがある」。モバイルセキュリティベンダーLookoutのセキュリティソリューション担当シニアマネージャーであるハンク・シュレス氏はこう説明する。
教職員に普及しているのはWindowsデバイスだ。Windowsデバイスの脆弱(ぜいじゃく)性をすぐ修正するといった基本的なセキュリティ対策の運用は「教育機関ではあまりうまくいっていない」と、エンドポイントセキュリティベンダーMorphisecのセキュリティ戦略担当バイスプレジデントを務めるアンドリュー・ホーマー氏は説明する。
Chromebookには自動バックアップの機能があるので復旧は比較的容易だ。「これがChromebookを狙うランサムウェア攻撃がそれほど多くない理由だと考えられる」とフィップス氏は語る。
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