コロケーションとクラウドの「うるさい隣人」対策【前編】
コロケーションでの傍若無人な「うるさい隣人」問題を防ぐ5つの対策
リソースを大量に消費するワークロードは、他のワークロードのパフォーマンス低下や停止を招く可能性がある。コロケーションサービス使用時に、こうした「うるさい隣人」問題に対処するための方法を示す。
クラウドサービスを含むデータセンターサービスには「うるさい隣人」(ノイジーネイバー)問題がある。リソースを大量に消費するワークロード(アプリケーション)の影響で、同じ物理インフラで稼働する別のワークロードで使用可能なリソースが足りなくなってしまう問題のことを指す。
本稿はコロケーションサービスにおける、うるさい隣人問題の対策を説明する。
コロケーション使用時の「うるさい隣人」対策
ワークロードごとに別々の物理サーバを割り当てる場合、うるさい隣人問題は基本的に発生しない。メモリ領域を解放しないことで、確保できるメモリ領域が少なくなる「メモリリーク」が起こったり、過剰なストレージI/Oが発生したりしてワークロードが停止することはあっても、他の物理サーバで稼働するワークロードはまず影響を受けない。問題が発生するとしたら、SAN(ストレージエリアネットワーク)またはNAS(ネットワーク接続ストレージ)を共用していたり、WANを共有していたりする場合ぐらいだ。
うるさい隣人問題は、主に仮想マシン(VM)でワークロードを稼働させる際に厄介な問題となる。サーバ仮想化製品では一般的に、複数のVMが1台の物理サーバのリソースを共有する。1つのワークロードが物理サーバのリソースを使い果たすと、同じ物理サーバで稼働する他のVMおよびワークロードに必要なリソースが不足する。
コロケーションサービスでは、組織ごとに物理サーバやストレージ、LAN(ローカルエリアネットワーク)を専用のケージやエリアに配置し、施設がそのプロビジョニング(配備)と管理をする。ワークロードやサードパーティー製の管理ソフトウェア、施設外のシステムへのアクセスはユーザー企業が管理する。
うるさい隣人問題がコロケーションで生じるのを防ぐには、次のような対策を取る必要がある。
対策1.コードが正しく記述されていることを確認する
ワークロードで使用するコードをテストして、メモリリークが起こらないかどうか、ネットワーク負荷を可能な限り低減するように最適化しているかどうかを確認する。ワークロードがピーク時の負荷を処理できることをストレステストで確認し、どの物理リソースを消費しようとするか調べておくことも必要になる。
対策2.ワークロードが使用するリソースの上限を設定する
突発的にワークロードの需要が急増したときに、追加のCPUリソースやストレージリソースをどの程度要求可能にするかをルールとして定義する。ワークロードの監視システムからアラートを発生させるように設定し、IT管理者が状況をリアルタイムで把握できるようにすれば、必要に応じてルールを調整したり、問題を修正したりできる。
対策3.ワークロードの優先順位を設定する
重要度の低いワークロードが大量のリソースを消費するせいで、重要度の高いワークロードが必要なリソースを使用できなくなるといった状況は避けなければならない。リソースの上限設定に加え、それぞれの組織の要件に合わせてワークロードの優先度を設定することも重要だ。
対策4.ワークロードを別のインフラで稼働させる
たとえ問題が発生した場合でも、停止せずに実行させ続けることが必要なワークロードもある。そのようなワークロードは、自社インフラの中でも使用頻度や重要度の低い部分に移したり、クラウドサービスへ移したりすれば、問題を調査しながらワークロードを実行できる。
対策5.IT管理者が介入し、リソースを管理できるようにする
ワークロードで起きる問題の検知や通知には、前述のように監視システムを導入する必要がある。加えてユーザー企業のIT管理者は、ワークロードが必要とするリソース量を抑え、他のワークロードが必要なリソースを確保した状態を保つことが必要だ。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的な家電メーカーが実践する「クリエイティブプロセス効率化」の方法とは? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的テクノロジー企業に学ぶ、プロセス標準化とプロジェクト納品自動化の秘訣 -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソニー・ピクチャーズ テレビジョンに学ぶ、次世代サービスデリバリーのヒント -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソミック石川に学ぶ、ICT浸透後に直面した「工数管理」の課題と解決策
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
2
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
3
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
4
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
5
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
6
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
7
エンジニアが選考を辞退する本当の理由 7割が隠す“面接の違和感”とは
-
8
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
9
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
10
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
4
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
-
9
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
10
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー