Broadcomの野心に振り回される企業【後編】
「脱VMware」は正解なのか? 真っ二つに割れる企業の言い分
BroadcomによるVMware買収後、製品のライセンス体系が変更するといった変化が起きた。その結果、VMware製品からの移行を検討する企業も出てきている。真っ二つに割れる顧客企業、それぞれの考えとは。
半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMwareを買収後、VMware製品のライセンス体系を変更した。クラウドサービスベンダーでVMware製品リセラーのExpedientによれば、Broadcom傘下となったVMwareのサービスを使い続けるべきか、それとも離れるべきかという問いに対する顧客企業の意見は、ほぼ真っ二つに分かれている。
「脱VMware」をする企業としない企業、それぞれの言い分
併せて読みたいお薦め記事
連載:Broadcomの野心に振り回される企業
「脱VMware」を狙うベンダー
Expedientの最高経営責任者(CEO)ブライアン・スミス氏は、「顧客企業の意見が真っ二つに分かれる」という結果に驚きはなかったという。「VMware製品を必要とする顧客企業は逃げ出すつもりはなくても、実質的な値上げに思わず反応してしまった可能性がある」(スミス氏)
「VMwareの値上げに対しては感情的な反応が大きく広がっている。そうした状況では顧客企業も代替手段がないかどうか聞いてしまうものだ」とスミス氏は言う。
代替手段を検討している企業は、Nutanixのハイパーバイザー「Acropolis Hypervisor」(AHV)やオープンソースのハイパーバイザー「KVM」(Kernel-based Virtual Machine)などを有力な選択肢として挙げている。
これを機にさまざまなベンダーが仮想化市場に参入している。2024年5月、VMwareなどの企業向けソフトウェアのサポートベンダーであるRimini StreetがVMware製品の保守サポートを始めた。それは、Broadcom傘下での保守サポートの品質低下や消滅を懸念したVMware製品の顧客企業からの問い合わせを受けたためだという。Rimini Streetの最高製品責任者(CPO)を務めるデイビッド・ロウ氏は「VMware製品の保守サポートサービスは非常に好調だ」と述べている。
ロウ氏によると、Rimini Streetを頼る企業はVMwareからの移行方法を決めるまでの時間稼ぎをしている。企業は次の段階にどのように進むべきかを把握したいと考えている。「VMware製品を使用し続けるアプリケーションもあれば、他の選択肢を考えるアプリケーションもあるだろう」(同氏)
Rimini Streetのサポート部門のグループバイスプレジデントを務めるロドニー・ケニヨン氏も同意見だ。「VMwareの複数年ライセンスの有効期限切れを待っている企業は、その後に別のベンダーに移行するか、Broadcomのサブスクリプションライセンスを契約するかを決断することになるだろう」とケニヨン氏は話す。
VMware製品から離れるかどうかは難しい判断になる。Broadcomの傘下になってコストが上がっても、VMware製品が適切に機能しているとなればなおさらだ。「上手くいっていることを自ら台無しにしたくはないものだ」(ロウ氏)
サブスクリプションライセンスのみを提供するというBroadcomのアプローチは、当面は顧客企業の不評を買い続ける可能性がある。一方で、「将来的にはサブスクリプションライセンスによって、VMware製品の製品やサービスが標準化されることに価値を見いだす顧客企業が増える可能性もある」と、米TechTarget傘下の調査会社ESG(Enterprise Strategy Group)でアナリストとして働くスコット・シンクレア氏は語る。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略 -
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「サプライチェーン最適化」実践ガイド:効果的な意思決定を実現する秘訣とは? -
製品資料
[株式会社リンプレス] 非デジタル/IT人材を「自走するDX推進者」に変えるための育成ロードマップ -
市場調査・トレンド
[ワンアイルコンサルティング株式会社] AI時代の組織設計:「判断と責任」を人に残すための2つの原則とは? -
技術文書・技術解説
[ワンアイルコンサルティング株式会社] システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
2
「完璧な設計」なのに3000万円溶けた AWSの失敗事例から学ぶ3つの教訓
-
3
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
4
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
5
「AIバブル」は崩壊するのか? 熱狂の後に来る“尻拭い”と4つの防衛策
-
6
守るべきは「開発者のフロー状態」 AIによる生産性改善の6施策
-
7
パナソニックが国内製造26拠点のERPを「SAP S/4HANA」に統一 アドオン7割削減
-
8
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
9
高額な「AI PC」を一般従業員も使えたら? 費用のハードルを一気に下げる方法
-
10
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
2
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
3
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
4
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
5
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
6
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
7
「人員を増やす」という選択肢はない 情シスが負の連鎖から抜け出すには?
-
8
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
9
「問題が深刻化しやすいプロジェクト管理」から脱却する方法とは?
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー