BroadcomのVMware買収を受け、プラットフォームエンジニアリング市場での活動を強化しているのがSUSEだ。ただしSUSEには強敵が立ちはだかっていると専門家は指摘する。SUSEの成功の鍵を握る要因とは。
半導体ベンダーBroadcomが、仮想化ソフトウェアベンダーVMwareを買収したことによって、仮想化を中心とする市場に動きが生じている。専門チームが開発者に必要なインフラを構築、運用するアプローチ「プラットフォームエンジニアリング」分野もその一つだ。コンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」で扱うコンテナクラスタ(Kubernetesクラスタ)管理ツール「Rancher」を提供するSUSEは、企業買収やRancherの強化などを通じて、プラットフォームエンジニアリング市場での進出を狙っている。SUSEにとって障壁になるのはどのベンダーなのか。SUSEの取り組みは功を奏するのか。専門家の意見を基に考える。
業界アナリストによると、VMwareから離れる企業の獲得競争において、SUSEに対する最大の競争相手はRed Hatだ。Red HatはKubernetesクラスタ管理ツール「Red Hat OpenShift」(以下、OpenShift)で既に一定の市場シェアを獲得している点や、親会社がIBMである点がその理由だという。
OpenShiftは、オブザーバビリティ機能やコンテナセキュリティツール「Red Hat Advanced Cluster Security for Kubernetes」を使用したセキュリティ機能など、プラットフォームエンジニアリング関連のさまざまな機能を搭載している。コンテナ内でVM(仮想マシン)を構築、実行できる仮想化ソフトウェア「KubeVirt」も、そうした機能の一つだ。SUSEのHCI(ハイパーコンバージドインフラ)ソフトウェア「Harvester」も同様に、KubeVirtを基礎技術として採用している。
SUSEは2024年6月にドイツで開催したユーザーイベント「SUSECON 2024」において、Rancherの機能強化の詳細を発表した。具体的には以下の通りだ。
調査会社IDCのアナリストであるゲーリー・チェン氏は、VMwareに不満を抱く同社の顧客企業を、ある1社のベンダーが丸ごと取り込む可能性は低いとみている。特にクラウドネイティブインフラに移行することが難しいレガシーアプリケーションは、取り込まれる可能性が低いという。
「Rancherは、クラウドネイティブなプラットフォームエンジニアリング分野において、VMware製品の代替手段になる可能性を高めている」とチェン氏は話す。
チェン氏は「SUSEの台頭によって、これまでほとんど注目を浴びてこなかったHarvesterが中心的な存在に躍り出る可能性がある」と語る。SUSEはHarvesterに対して、クラウドネイティブやコンテナといった最新技術の視点を取り入れたアップデートを実施した。「この変更でHarvesterは、VMware製品で構築したVMのうち、ある程度のモダナイゼーション(最新化)が可能なものに適したツールとなった」と同氏は説明する。
IDCのアナリスト、ステファン・エリオット氏は、SUSEがIBMないしRed Hatのような大企業と競争するには、「企業の経営幹部をターゲットにするよう営業戦略を変えることも必要だ」と補足する。
プラットフォームエンジニアリング分野は競争が非常に激しく、市場にはさまざまな製品やサービスがあふれている。プラットフォームエンジニアリング市場での競争力強化を目指して、SUSEは可観測性(オブザーバビリティ)ベンダーStackStateを買収した。「この買収はSUSEの助けになるが、それだけでは不十分であり、顧客企業の経営陣に対して積極的にアピールしなければならない」とエリオット氏は助言する。具体的には、SUSEの製品とサービスが最高情報責任者(CIO)やCTOにとってどのような意味を持ち、どのような価値をもたらすのかを明確に示すことが必要だという。
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