HCIアプライアンスの拡張を通じ、NutanixとDell Technologiesが提携を強化している。新しい仮想化製品の投入によって、VMwareユーザーに選択肢を提供する狙いだ。勝算はあるのか。
NutanixとDell Technologiesは、これまで続いてきた提携関係をさらに強化している。Dell Technologiesは2024年8月に新たなハイパーコンバージドインフラ(HCI)アプライアンス「Dell XC Plus」を発表した。
「仮想化分野の巨人VMwareに対し、Nutanixは企業向け市場で挑戦しようとしている」。市場分析企業Data Center Intelligence GroupのCEOであり、アナリストのジェローム・ウェント氏は、NutanixとDell Technologiesの提携拡大についてそう分析する。この試みはうまくいくのか。
Dell XC PlusはDell Technologiesのサーバ製品「PowerEdge」とサポートサービスに、Nutanixのクラウドインフラ構築・運用ソフトウェア群「Nutanix Cloud Platform」を組み合わせたものだ。Dell TechnologiesがNutanixのハードウェアとソフトウェア、ライセンスのサポートを一括で提供する。
2023年にBroadcomがVMwareを買収して以降、VMware製品を利用する一部の企業は、VMware製品の価格変更に不満を抱えている。そうした企業がVMware製品に代わる仮想化製品を求めて、Dell Technologiesなどのベンダーに注目しているという。
Dell Technologiesのストレージ技術は、現在のNutanix製品に欠けている企業向け機能を補完し得る。ただしNutanixの戦略が成功するとは限らない。VMwareユーザーは、システム移行や使い慣れた機能の喪失を避けるため、VMwareが提示するコスト増加を受け入れる可能性がある。
「現在使用している機能が多いほど、VMwareユーザーはVMwareから離れるのが難しくなる」と述べた上で、ウェント氏は次のように説明する。「NutanixをはじめとするHCIベンダーが、VMwareユーザーの要求を満たす製品を提供できるようになる可能性はあるが、それが2024年の秋までに実現する見込みは薄い」
Dell XC Plusは、HCIアプライアンス「Dell XC」シリーズのラインアップに含まれる。Dell XCは、Dell TechnologiesのハードウェアとNutanix Cloud Platformを組み合わせたアプライアンスだ。Dell XC Plusは技術サポートを含むアフターサービスを提供し、窓口がDell Technologiesに一本化される。Dell XCシリーズと同様、Dell XC Plusでは6種類のハードウェア構成が選択可能だ。Nutanix Cloud Platformに加えて、マルチクラウド管理コンソール「Prism」がプリインストールされている。
米TechTargetの調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)のアナリスト、スコット・シンクレア氏によると、Dell Technologiesは自社製品がさまざまなハイパーバイザーと連携できるよう、互換性を確保してきた。Dell TechnologiesはVMwareの元所有者であると同時に、Nutanixとも約10年の間協力関係にある。VMwareの代替案を求めるDellの顧客企業が要望を寄せた結果、Dell XC Plusのような新製品の提供につながっているとシンクレア氏はみる。
「VMwareのHCIやハイパーバイザーの代替案に対する需要と関心は高まっている。Dell Technologiesはそれを理解しており、顧客企業の声に耳を傾けているのだ」(シンクレア氏)
後編は、NutanixとDell Technologiesのソフトウェア定義ストレージ(SDS)の新たな提案を含めて、VMware製品からの移行が進むのかどうかを考察する。
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