Broadcomは複数のVMware製品を単一のサービスに集約する方針で、製品の再編を進めている。競合ベンダーの製品やサービスを含めて、ユーザー企業にとっての選択肢を紹介する
仮想化ソフトウェアベンダーVMwareを買収したBroadcomは、VMware製品の買い切り型の永続ライセンスを廃止し、CPUのコア数に基づくサブスクリプションライセンスのみを提供するなど、製品やサービスの提供方法に変更を加えている。こうした同社の動きは、ユーザー企業の関心を競合ベンダーの製品に向けさせる可能性がある。BroadcomのVMware製品ポートフォリオ再編の具体的な内容と、競合する仮想化ベンダーの選択肢とは。
BroadcomはVMware 製品の再編の一環として、VMware製品を単一のサービスとして集約したプライベートクラウドサービス「VMware Cloud Foundation」(VCF)を提供している。2024年7月にはその新バージョン「VCF 5.2」の提供を開始した。
大規模な製品統合の背景にあるのは、データセンター市場の変化だ。ユーザー企業はコンテナや、複数の小さなサービスを使ってアプリケーションを作るマイクロサービスアーキテクチャ、サーバレスコンピューティングといったクラウドネイティブな技術で構成されたITインフラへと移行しつつある。
Forrester Researchは、VMware製品の既存顧客5社のうち1社はVCFを離れ、VCFと競合する代替の製品やサービスに移行すると予測している。
VCFは以下の製品やサービスと競合する。
競合製品が台頭する中で、VCF 5.2にはユーザー企業をBroadcomのVMware製品にとどまらせることを意図した機能が搭載されている。「VCF Import」は、サーバ仮想化製品群「VMware vSphere」とストレージ仮想化ソフトウェアの「VMware vSAN」(以下、vSAN)、ネットワーク仮想化製品群の「VMware NSX」(以下、NSX)で管理していたITインフラを単一のVCFに移行する機能だ。VCFでアップグレードやパッチ(修正プログラム)を一元管理することで、管理を簡素化できる。
もしユーザー企業が必要とするのがVMware vSphereのみであれば、サーバ仮想化製品群「VMware vSphere Foundation」(VVF)が選択肢になる。Broadcomは2024年7月にVVFのバージョン5.2の一般提供を開始した。
Broadcomが提供するVMware製品は今後、VCFとVVF の2つが軸となる。vSANやNSXなどの製品は、VCFまたはVVFオプションサービスとして利用可能だ。
一方でクラウドネイティブアプリケーションの開発者のために、Broadcomはコンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」のクラスタを管理するためのツール「Tanzu Kubernetes Grid」(TKG)を独立したサービスとして提供する。これにより、ユーザー企業は、コンテナ化されたアプリケーションをインフラから独立させて管理しやすくなると考えられる。
Broadcomが製品の統合戦略によって、競合企業の優位に立てるどうかは未知数だ。調査会社Freeform Dynamicsのアナリスト、トニー・ロック氏は次のように見解を語る。「VMware製品の代替となる仮想化技術は、数年前と比べるとはるかに成熟度が高くなっている。それに合わせて仮想化市場の競争は激化している」
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