BroadcomはVMware製品の再編を進めている。同社の動きは、ユーザー企業が他社の仮想化製品に移行するきっかけとなる可能性がある。VMware製品に起こったライセンス体系や調達方法の変化を解説する。
Broadcomのサーバ仮想化ブランドになった「VMware」の製品群を使い続けるかどうかについて、さまざまなユーザー企業が依然として方針を決めかねている。何がユーザー企業の“悩みの種”になっているのか。
2023年11月にVMwareを買収したBroadcomは、VMwareの事業方針に複数の変更を加えている。2024年7月には、数十種類のVMware製品を単一のサービスとして集約したプライベートクラウドサービス「VMware Cloud Foundation」(VFC)の新バージョン「VCF 5.2」の提供を開始した。
VCFはコンピューティングやストレージ、ネットワーキング、セキュリティ、クラウドインフラ管理のためのサービスで、CPUのコア数に基づくサブスクリプションライセンスで提供されている。ユーザー企業が個々のVMware製品ごとに保有していた買い切り型の永久ライセンスは販売終了した。
Broadcomが実施したVMware製品のポートフォリオの変更は、ユーザー企業にとっての転機となった。企業のCIO(最高情報責任者)は、VMwareの製品ポートフォリオに厳しい目を向け、VMwareの事業方針の変化がもたらすメリットやデメリットを検討し、VMwareを使い続けるべきか、それとも競合製品に乗り換えるべきかを判断している最中だ。
「ユーザー企業はVMwareの買収まで、変わらないライセンス体系で同社製品を利用し続けることができた。VMwareの買収は、それまでに見過ごされていたさまざまな懸念事項を考える契機となった」。調査会社Freeform Dynamicsのアナリスト、トニー・ロック氏はそう話す。
調査会社Forrester Researchの主席VMwareアナリスト、ナビーン・チャーブラ氏によると、VCF 5.2は企業のCIOが組織全体で調達し、VMwareの製品ロードマップに従うことを約束する必要がある。しかしそれは、ネットワーク管理チームやアプリケーション開発チームごとに、自分たちの必要な製品を個別に調達することに慣れている組織のニーズとは一致しない可能性がある。「企業のITチームごとにそれぞれのニーズがあり、それぞれの課題がある。VMware製品が組織の全てのニーズを満たすとは限らない」(チャーブラ氏)
さらにVCFのサブスクリプションライセンスは、VMwareの単一の製品の永続ライセンス料を支払っていた企業にとっては4~7倍の値上げになるとチャーブラ氏は指摘する。
BroadcomがVMware製品を再編し、統合を進める背景は何か。
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