AWSのバックアップ一元管理サービス「AWS Backup」はその機能で容易にデータやシステムのバックアップが可能だ。AWS Backupのコスト効率を高め、未曽有の災害からも復旧できるようにするには。
Amazon Web Services(AWS)の同名クラウドサービス群で利用できるバックアップ一元管理サービス「AWS Backup」は、基本構成に沿ってバックアップ時のルールを設定するだけでも、偶発的なデータ削除やリソースの構成ミスなど、さまざまな障害の原因のリカバリーが可能となる。だが、コストパフォーマンスを高めつつ、災害などに万全に備えるためには、ベストプラクティスに沿った運用が求められる。どのような点に注意すればいいのか。
IT管理者はさまざまなリソースに対して、バックアップの適切な保持期間を見極め、そのバックアップ保持コストを割り出す必要がある。保持期間を必要以上に長くすると、最適とは言えないコストが発生するケースがある。
リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)の「Amazon Relational Database Service」(Amazon RDS)のように、データバックアップ機能を単独で提供するサービスもある。AWS Backupの設定によっては、Amazon RDSなど個別の機能のバックアップにかかる費用とAWS Backupのバックアップ費用が二重に発生する恐れがある。
バックアップを90日以上保持する必要がある場合はコールドストレージ(アクセス頻度の低い大量のデータを扱うストレージ)を選択すると、コストを抑えられる可能性がある。コストは事前に計算して定期的に監視することが重要だ。
AWSのタグ付け機能を使用して、バックアップ対象のリソースに適切にタグを付けることで、リソースやアプリケーションに関連するバックアップジョブを効率的に識別して整理できる。
タグ付けによって、アプリケーション名、コンポーネントの種類、開発フェーズ、テナント、組織など、さまざまなカテゴリーでリソースをグループ化できる。
AWS Backupには、別のアカウントにデータをコピーすることで、セキュリティ侵害や攻撃からデータを保護する「クロスアカウントバックアップ」機能がある。ただし、コピー元のアカウントとコピー先のアカウントは、アカウント管理サービス「AWS Organizations」内の同一組織に属している必要がある。
データを別のAWSリージョンにコピーしておくと、あるリージョン全体に及ぶ障害が発生した場合でもデータを保護できる。
極めて壊滅的な事態からアプリケーションやコンポーネントを保護するには、アカウント間やリージョン間にまたがるレプリケーション構成を検討するべきだ。
AWS Backupコンポーネントを構成する前に、各アプリケーションの目標復旧時点(RPO)と目標復旧時間(RTO)の明確な目標を持つことが重要だ。
RPOはアプリケーションの復旧時にどの時点までのデータを復元可能にするかを定める。RTOは、災害復旧計画の一環として、アプリケーションの停止から復旧までにかかる時間をどの程度まで許容できるかを決定する。
障害発生時にチームが実行する必要がある復旧手順をテストし、ドキュメント化しておくことが欠かせない。復旧手順を定期的にテストすることで、アプリケーションやチームが進化に合わせてRPOとRTOの目標を確実に満たすことが可能になる。
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