MacからWindows搭載PCに乗り換えることに筆者は長い間関心があった。「AI PC」に注目が集まっているのを機に、Windowsを使ってみることにした。その結果、重大な幾つかの気付きが得られた。
私は長年、AppleのクライアントPC「Mac」を愛用してきた。だがMicrosoftのクライアントOS「Windows」搭載PCのレベルが上がるのに伴い、以前よりもApple製品が魅力的には思えなくなったと感じることがある。AI(人工知能)技術をPCで稼働させる「AI PC」に関心が集まっていることを良い契機として、Windows搭載PCを使ってみることにした。
その結果、MacとWindows搭載PCの違いに関して、実際に移行してみなければ分からない幾つかの重大な気付きが得られた。MacからWindowsへの移行を考えている人や、反対にWindowsに対して不満を持っている人にお伝えしたい。
MicrosoftがAI PCブランドとして提供する「Copilot+ PC」の機種で、Dell Technologiesの「XPS 13」を筆者は使ってみることにした。Qualcomm TechnologiesのArmプロセッサ(Armアーキテクチャのプロセッサ)「Snapdragon」シリーズを搭載しているモデルだ。このWindows搭載PCを8週間にわたって使用する間、Macは封印しておくことにした。
私がこれまでずっとMacを使い続けてきた大きな理由の一つは、使用する全てのデバイスでシームレスにメッセージングアプリケーション「iMessage」が使えることだ。それに加え、ヘッドフォンなどのデバイスや無線LAN(Wi-Fi)などの設定もデバイス間で簡単に連携できることにも私はすっかり慣れている。Windowsに移行すればそうした機能が使えなくなることは十分承知していたから、この件はできるだけ脇に置いておこうと思った。
ただ、Windowsにも「Phone Link」(スマートフォン連携機能)という機能がある。これは「Windows 11」搭載のPCとスマートフォンを連携させる機能だ。これがあれば満足できるだろうか。使ってみた結果、全く駄目であることが分かった。テキストメッセージはほぼ機能するが、画像の送受信は機能せず、十分とは言えなかった。Appleの存在がこうした機能への要求を必要以上に難しくしているのは確かだが、それにしても、Phone Linkが未整備の後付け機能に見えるのも事実だ。
Microsoftも他社もこれを見過ごし、大した問題ではないと考えているのだろう。だがこの問題は大きい。Dell TechnologiesやHPなどのPCベンダーも、デバイス間で相互にシームレスに統合できる独自の周辺機器を提供していることを付け加えておきたい。Lenovoには、同社製ノートPCと連携できる「Android」搭載スマートフォンがある。その機能を利用するには、そのためのエコシステムに入らなければならない。そのためにはさまざまな切り替え作業が必要となり、好むと好まざるとにかかわらず、変更にはフラストレーションが伴う。簡単にできることではない。
特に苦労したのは、細かい違いに慣れることだった。例えば、「command+C」と「command+V」の代わりに、「Ctrl+C」と「Ctrl+V」を使わなければならない。16年間で体が覚えた習慣は簡単には変えられないものだ。大きな問題ではないとはいえ、煩わしい。しばらく格闘するとずたずたの気分になり、片隅で電源を切られたままのMacが寂しそうに見えてくる。
Macでは当たり前のように思っていたことが、Windowsでは通用せずにそれがストレスの元になった例は他にもある。
本稿で触れた以外にも私にとって重大だった問題がある。それがランチャーアプリケーション「Alfred」の有無だ。これについては次回詳しく紹介する。
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