VMware製品からNutanix製品に乗り換えるユーザー企業がある。だが移行には課題があるので、移行が正しい判断なのかどうかを十分に検討することが欠かせない。
半導体ベンダーBroadcomがVMwareを買収したことで、製品の価格やライセンス体系などが変化している。こうした理由により、VMwareのハイパーバイザー「ESXi」から、Nutanixのハイパーバイザー「Acropolis Hypervisor」(AHV)への移行を検討するユーザー企業がある 。
ただし、VMwareのハイパーバイザー「ESXi」の代わりにAHVを使用することを考えているユーザー企業は、幾つかの課題に直面する可能性がある。どのような困難があるのか。
NutanixのCEOラジブ・ラマスワミ氏によれば、ESXiとAHVが稼働する仮想化インフラは、構成が異なっている。ESXiはサーバ、ストレージ、スイッチからなる3層型のアーキテクチャを土台として進化してきた。それに対して、Nutanixはサーバとストレージを組み合わせた「ハイパーコンバージドインフラ」(HCI)のベンダーだ。
ラマスワミ氏が言うように、Nutanixは“純粋な”ハイパーバイザー企業ではない。同社の戦略は、HCIへの移行を促すことだ。「インフラ移行の一環として、ESXiからAHVに移行するかどうかをユーザー企業が判断できる」(同氏)
「AHVのユーザー企業のほぼ全てが、かつてはESXiを運用していた」とラマスワミ氏は語る。ただしESXiからAHVに移行した企業はHCIの採用を決断してきた。Nutanixはこれまで、ハイパーバイザーだけの乗り換え需要は想定していなかった。同氏は「BroadcomによるVMwareの買収によってその道が開かれた」と語るが、Nutanixがハイパーバイザーを単独で提供するとしたら、それは「一歩後退するようなものだ」とも言う。Nutanixのハイパーバイザーを確実に機能させるためには、ストレージアレイのベンダーと連携する必要があるという。
3層型のアーキテクチャからHCIへの移行を検討するユーザー企業は、移行のリスクとコストを考慮する必要がある。ストレージのサポート終了が近づいているのであれば、Nutanixの支援策に魅力を感じて不思議ではない。だがNutanixの技術が、VMware製品に慣れている企業に馴染むとは限らない。
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