CIOをはじめとする上級技術職の収入は、IT市場の不調が続く中でも増加傾向にある。収入アップを実現した人にはどのような共通点があるのか。
採用コンサルタント会社Harvey Nashの調べでは、IT市場が減速する一方で最高情報責任者(CIO)をはじめとする技術職の収入は上昇傾向にある。そうした技術職の中でより良い待遇を得る人には、共通の特徴がある。転職をして年収アップを目指すための視点を5つのポイントで紹介しよう。
昨今の採用トレンドとして、「デジタルトランスフォーメーション」(DX)に代表されるビジネス変革の経験を持つ人材のニーズが強い。2024年もこの点が引き続き重要だが、近年はそれに加えて技術スキル(技術を活用するための深い知見)が重視されるようになっている。
DXにおいて欠かせない自動化やデータ活用に関する新技術が続々と登場しており、それらの新技術の導入と実装をリードすることがCIOには求められるからだ。
一方で、人工知能(AI)技術、とりわけテキストや画像、音声などのデータを生成する「生成AI」(ジェネレーティブAI)については事情が異なる。生成AIは急速に企業の関心を集めているが、大規模に導入を進めている企業は少数派だ。AI技術の知見や経験が給与アップにつながるのには、あと数年はかかると考えられる。
資格取得は自らのスキルを証明する手段として有効だが、過信は禁物だ。大半の雇用主は応募者の保有資格にあまり関心を示さず、実務経験やビジネスで出した成果の方を重視している。ただ、応募者の専門的な資格を注意深く調べる企業ももちろん存在する。新しい資格に興味があるなら取得すべきだ。資格は邪魔になることはないし、有利に働く場合もあるからだ。
求職者が適切な上級職を見つけるまでに、一般的に3〜6カ月ほどかかる。焦らず、機が熟するまで待つことが重要だ。市場が活性化すると人材の需要も高まり、報酬も上がる傾向があるため、そのタイミングを逃さないよう業界動向を常にチェックしておこう。
賢い人材は、目先のキャリアではなく数手先を見る。目標地点まで一足飛びで行くことは難しい。目標にたどり着くために必要な経験や知識、スキルを習得するための転職も検討すべきだ。プロジェクトを成功させたり、チームを管理したりといった実績を作れば、次の職場で幹部や責任者のポジションを得るのに役立つだろう。
「身内に優しい」、言い換えると「よそ者に厳しい」業界は、未経験者が入ることが難しいと言われる。例えば、金融サービス業、石油/ガス業は、同業界で働いた経験がある人材を好んで採用する傾向がある。一方で、建設/土木業、運輸/物流業、製造業は、必要となる技術やスキルが似通っているため、業界間での採用市場は比較的オープンだ。
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