近年急速に普及する生成AIは、ビジネスにチャンスとリスクの両方をもたらす。CIOが生成AIの活用を成功させるために取るべき行動とは。3つの視点から解説する。
2023年12月、調査会社Gartnerは同社のブログエントリ(投稿)で、企業における2024年以降のビジネス戦略予測を発表した。同社の技術トレンド分析によると、2027年までに、AI(人工知能)の生産性が国力を示す主要な経済指標になるという。
Gartnerで著名次席アナリストを務めるダリル・プラマー氏は2023年を振り返り、「AI技術はあらゆる企業戦略や意思決定の中心に据えられた」と話す。特に、テキストや画像などを生成するAI技術「生成AI」(ジェネレーティブAI)は、従来不可能だったことを可能にするチャンスをもたらした。企業はその恩恵を享受するために、生成AIのリスクを受け入れるだろうとプラマー氏は予測する。
企業のCIO(最高情報責任者)や経営者は、生成AIから得る恩恵を最大化しつつ、その潜在的なリスクを避けるために、どのような行動を取るべきなのか。3つの視点から紹介する。
CIOにとって重要な生成AI活用分野の一つが、レガシーシステムの刷新だ。大規模言語モデル(LLM)を採用する生成AIツールは、古いソースコードの書き換えやテストの自動化など、システム刷新や再構築のプロセスに役立つ。Gartnerによると、生成AIを活用することで、レガシーシステム刷新にかかるコストは2027年までに70%削減できるという。
レガシーシステムの刷新を効率的かつ正確に進めるために、プラマー氏はCIOに対して以下の事項に取り組むよう提言する。
Gartnerの予測によると、生成AIの普及に伴い、ナレッジワーカー(知識労働者)の労働組合加入率は2028年までに1000%増加するという。背景には、AI技術の導入は人員削減につながるという考えや、従業員の間で不安が高まっている状況がある。
「AI技術を導入する企業は、従業員に対して導入の意図を明確に伝えるべきだ」とGartnerは経営者に促す。生成AIを導入する組織が、ナレッジワーカーが抱く不安に明確に対処できない場合、離職率が20%高くなるという調査結果も出ているという。
政府機関をはじめとする公共セクターも、生成AI技術の活用を優先課題として戦略に組み込んでおり、AI技術は国家レベルでデジタルトランスフォーメーション(DX)けん引役の地位を確立したと言える。これに伴い、AI技術の安全な使用に関する規制計画は急務となっている。
例えば、生成AIの急激な台頭により、ハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を生成する現象)やディープフェイク(本物の人物を偽装する偽情報)などのリスクは強まっている。「AIモデルの継続的な監視をしたり、AIモデルが生成する不正情報に対抗するツールや技術を導入したりする企業は、競合他社に対して優位に立てるだろう」とプラマー氏は話す。
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