標的システムを暗号化するかしないかを問わず、ランサムウェア攻撃は引き続き猛威を振るっている。ランサムウェア“新興勢”の種類と特徴とは。
Cisco Systemsのセキュリティ研究機関Cisco Talosによると、システムを暗号化しないランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃「ノーウェアランサム」が活発だ。しかし、システムを暗号化する従来型のランサムウェア攻撃にも引き続き注意しなければならない。最近の動向を見てみよう。
Cisco Talosはシステムを暗号化する主な攻撃者グループとして、「LockBit」や「Royal」を挙げる。LockBitは2023年、「Royal Mail」ブランドで英国の郵便事業を手掛けるRoyal Mail Group(International Distributions Services傘下)を攻撃したことで知名度が高まった。これらに加え、最近は「8Base」「Money Message」といった新興勢の攻撃活動も活発だとCisco Talosは説明する。
8Baseはランサムウェア「Phobos」の亜種を使い、標的のデータを盗み取った後、システムを暗号化する。システムに入り込むためにはリモートデスクトップソフトウェア「AnyDesk」を悪用して検知を回避するようにしている。他には、「Windows」のコマンド実行ツール「PowerShell」の悪用も確認されているという。Cisco Talosによれば、8Baseによる攻撃が活発になったのは2023年6月以降だ。
2023年3月に初めて観測されたMoney Messageの攻撃は、システム暗号化とデータ窃盗の「二重恐喝」が特徴だ。Cisco Talosによると、システムの暗号化には「楕円曲線ディフィー・ヘルマン鍵共有」や「ChaCha」といった暗号化技術が使われている。Money MessageもPowerShellを悪用し、検知を回避するようにしているという。
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