こんな社内制度で「スター社員」ばかりに? やる気が出る理由とは?「継続的な学習」を普及させる12のヒント【後編】

スキルの向上に努力を惜しまない従業員には末永く働いてもらいたい――そのために企業が構築すべき「継続的な学習」の制度とは。

2024年01月23日 05時00分 公開

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 既存の従業員の中から人材を確保するための人事施策の一つが、継続的な学習機会の提供だ。従業員のスキルを高める「スキルアップ」や、従業員に新たなスキルセットを身に付けてもらう「リスキリング」の環境を整えることは、従業員のモチベーション向上にもつながる。後編となる本稿は、継続的な学習機会を社内に普及させる12個のヒントのうち、9〜12個目を紹介する。

ヒント9.模範的な従業員の取り組みを社内で共有する

 企業の中には、スキルの向上を目指して学び続けることを止めない従業員が存在するものだ。その従業員はどのような研修を何件受講したのか、研修から得た学びを製品やサービスの改善にどう生かしたか――そのようなサクセスストーリーを社内で共有すると、他の従業員たちも奮起する可能性がある。「学習した結果、昇進につながった」という実例がある場合はなおさらだ。その話を聞いた従業員たちは、昇進への希望を持ったり、「サクセッションプランニング」(事業の後継者や次世代の幹部を育成するための計画)への参加を視野に入れて真剣に学んだりするようになる。

ヒント10.ゲーミフィケーションの仕組みを取り入れる

 ゲーム以外の活動にゲームの仕組みを利用する「ゲーミフィケーション」の要素を、研修に取り入れることも有用だ。ゲームをプレーしているような感覚を持つことができ、従業員同士が競争を通じて切磋琢磨(せっさたくま)し合うようになる。スコアボードの機能を設置すれば、誰がどの研修を受けているのか、どのようなことを学び共有しているのかを従業員同士が分かるようになる。

 ポイント制度も有効だ。企業が勧める研修を1時間受講したら10ポイント、2時間なら20ポイント、のようなルールを定め、たまったポイントを報酬と交換できれば理想的だ。ポイントに金銭的な価値を付与して、景品と引き換えられるようにする方法もある。自分以外の従業員のために研修を主催したり、学んだ内容を従業員同士で共有したりしてもポイントを獲得できるようにするとなおよい。

ヒント11.メンター制度を導入する

 業務上の知識や経験が豊富な先輩従業員(メンター)が後輩従業員(メンティー)を支援する仕組みを取り入れることも有意義だ。企業としての公式な取り組みにしない場合は、上司はメンターとメンティーとの会話を監視したり、期待や目標を設定したりしない。学習機会を通じてどのような効果を得たいのかを、メンターとメンティーの間で独自に決めることが可能だ。

 公式な取り組みにするのであれば、メンターとメンティーが制度を利用するための申請プロセスの設計や、ミーティングの予定回数の設定、議事録の作成といったルール作りが必要となる。メンティーがサクセッションプランニングの対象者である場合、もしくはメンティーの知識やスキルの習熟度を評価することが必要な場合は、公式な仕組みを前提とした方がよい。

 公式か非公式かどうかにかかわらず、メンター制度の導入はメリットをもたらす。ただし公式な制度として進める場合は、運用と管理のための時間とリソースを確保することが必要となる。

ヒント12.継続的な学習機会から得た成果を評価する

 一般的に、何らかの取り組みがもたらした成果を定量的・定性的に評価する行為は、「その取り組みは重要なもの」というメッセージにつながる。継続的な学習機会の仕組みを評価すれば、従業員の「しなやかマインドセット」を強化することができる――つまり「失敗したとしても、自分の努力次第で成果を出すことができる」という考え方を従業員が持てるようになる可能性がある。上司というものは、成長したいと考えている従業員の期待に応えたいものだ。そのために継続的な学習機会の仕組みが存在する。

 研修プログラムの進捗(しんちょく)はどうなっているか、経営陣が定期的に情報の共有を求める場合がある。例えば、企業や大学が展開する社外の研修を何人が受講していて、社内の研修には何人が参加しているのかといった情報や、予算の使い方といった具合だ。研修を受講した従業員の成果を社内で共有するのは、決算期のように、さまざまな情報を社内で展開するタイミングに合わせることが望ましい。

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