「一般公開のメールアドレス」が危ない BMWでだます攻撃が広がる実態外交官を狙った「Cozy Bear」の攻撃【後編】

サイバー犯罪集団Cozy Bearは、外交官を標的にした攻撃活動を実施している。Cozy Bearはどのようにして標的の狙いを定めているのか。要注意の国とは。

2024年01月22日 08時00分 公開
[Alex ScroxtonTechTarget]

 Bayerische Motoren Werke(BMW)の中古車が安く買える――。サイバー犯罪集団「Cozy Bear」(「APT29」や「Nobelium」とも)はウクライナに赴任して公用車が必要な外交官を標的にしている。ただしCozy Bearの攻撃は、その他の国にも広がっている。攻撃活動を広げるその手口とは。

標的の情報収集をするCozy Bear その標的は?

 セキュリティベンダーPalo Alto Networksは、BMWの中古車を餌にして仕掛ける攻撃は高確度でCozy Bearによるものだと判断したという。攻撃の標的や手口、マルウェアの特徴から、同犯罪集団によるものだと考えられるからだ。Cozy Bearはウクライナの首都キーウの外国使節を重点ターゲットにしていることで知られている。

 ただしCozy Bearの活動はウクライナにとどまらない。Palo Alto Networksの説明によれば、標的にはアイルランド、アルゼンチン、アルバニア、イラク、ウズベキスタン、エストニア、オランダ、カナダ、キプロス、ギリシャ、キルギスタン、クウェート、スーダン、スペイン、スロバキア、トルクメニスタン、トルコ、デンマーク、ノルウェー、米国、ラトビア、リビアの大使館で働く人が含まれている可能性がある。

 Palo Alto Networksによれば、同社が観測した攻撃の8割において、Cozy Bearは一般に公開されている大使館のメールアドレスを使用していた。残りの2割では他の手段で収集された未公開のメールアドレスが使われていた。少なくとも1つの大使館に対しては、無料のWebメールサービスを用いたグループメールによって攻撃が仕掛けられたという。

 Cozy Bearは熟練技術者の集団であり、常に知識を増やしながら攻撃手法を変えていると考えられる。Palo Alto Networksは、今後もCozy Bearの活動が活発になる可能性があるとみている。Palo Alto Networksは各国の在ウクライナ大使館に対し、職員向けのセキュリティトレーニングを実施するとともに、マルウェア検出といったセキュリティ製品を導入することを推奨している。

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