ロシアが侵攻したウクライナで働く外交官を標的にした攻撃活動が活発だ。攻撃者はロシア政府が絡むCozy Bearだ。高級車を餌にして、標的をわなに掛ける方法とは。
ロシア政府が支援しているとみられるサイバー犯罪集団「Cozy Bear」(「APT29」や「Nobelium」とも)は、ウクライナに赴任したばかりの外交官を狙った攻撃を実施している。Cozy Bearが“わな”に使っているのは自動車メーカーBayerische Motoren Werke(BMW)の中古車だ。どのような手口なのか。
Cozy Bearは標的にメールを送信し、「ポーランド大使館の職員からBMWの中古車を安く購入できる」というメッセージで標的を不正リンクに誘導する。セキュリティベンダーPalo Alto NetworksはCozy Bearによるこの攻撃活動を「Cloaked Ursa」と名付けて追跡している。
Palo Alto Networksによると、在ウクライナ大使館に新しく配属され、公用車を必要とする各国外交官が標的になっている。「紛争が続いているウクライナに赴任したばかりという不安を悪用し、信用できる外交官“仲間”から高級車を低価格で買えると思わせる巧妙な手口だ」(同社)
発端は、ポーランド外務省の職員が2023年4月にウクライナの首都キーウ在住のさまざまな知り合いに送った本物のメールだ。この職員はメールで、「ポーランドに戻る予定があるため、公用車を売却したい」と説明していた。Palo Alto Networksによれば、Cozy Bearは受信者の1人から同メールを盗み出し、攻撃活動に悪用している。
本物のメールには、車両の写真にさまざまなWebページのリンクが挿入されている。Palo Alto Networksによると、Cozy Bearはそれらの接続先の画像を不正なファイルにすり替え、クリックするとマルウェアに感染するようにしている。
後編は、Cozy Bearが特にどの国の外交官を狙っているのかを解説する。
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