スマホを充電しただけなのに──マルウェア感染を招く「ジュースジャッキング」とは実は危ない? 無料の充電ステーション

公共の場所にある充電ステーションを使うと、スマートフォンがマルウェアに感染する恐れがある。こうした攻撃「ジュースジャッキング」を避ける方法はあるのか。

2025年03月05日 06時00分 公開
[Laura FitzgibbonsTechTarget]

 空港やショッピングモールといった公共の場所にあるスマートフォン向けの無料の充電ステーションを悪用する攻撃を「ジュースジャッキング」という。エンドユーザーのスマートフォンにマルウェアを感染させたり、スマートフォンからデータを窃取したりする。

 ジュースジャッキングの被害に遭遇する可能性は限定的ではある。しかし「スキミング」(特殊なデバイスを使ってクレジットカードから個人情報を不正に抜き取る行為)と同様、エンドユーザーが目の前にあるデバイスを「安全だ」と思い込むことで被害に遭う。

ジュースジャッキングの手口は?

 ジュースジャッキングは、通信する二者間に割り込む「中間者攻撃」(MITM)の一種だ。攻撃者は、USB接続を利用して充電ステーションに直接マルウェアを仕込むか、マルウェアに感染した充電ケーブルをUSBポートに差し込み、エンドユーザーが使うのを待つ。

 この攻撃は、スマートフォンの充電に使用するUSBポートでデータの転送もできることを悪用している。USBコネクタには複数本のピンがあるが、充電には1本、データ転送は2本のピンがあれば使用できるため、スマートフォンを充電中にデータの転送も可能だ。

 攻撃に使用するデバイスは、USBポートやスマートフォン用の充電ケーブルが一般的だ。

どのようなリスクがあるのか

1.個人情報の窃取

 ジュースジャッキングによってスマートフォンから個人情報を盗まれていても、エンドユーザーは気付きにくい。マルウェアに感染した充電ケーブルやUSBポートを介して個人情報を盗むため、スマートフォンを接続している時間が長いほど、より多くのデータが漏えいする可能性がある。

2.マルウェアの感染

 スマートフォンがマルウェアに感染した場合、攻撃者が遠隔で操作したり、エンドユーザーの行動を監視、収集した情報を外部に送信したりする恐れがある。

3.マルチデバイス攻撃

 マルウェアに感染したUSBポートや充電ケーブルに接続したスマートフォンを、別の充電ケーブルや充電ポートに接続すると、知らぬ間にマルウェアの媒介者となる場合がある。

4.無効化攻撃

 マルウェアに感染したスマートフォンを攻撃者がロックし、遠隔で操作する。

被害に遭わないためには

 ジュースジャッキングの被害に遭うと、パスワードやファイル、連絡先、テキストメッセージといった機密情報が、スマートフォンから窃取される恐れがある。

 ジュースジャッキングの対策の一つは、「USBコンドーム」と呼ばれるドングル(コンピュータに接続する小型デバイス)を使用することだ。公共の充電ステーションを使う際に、充電ケーブルをドングルに差し込んでからUSBポートに接続する。データ転送用ピンの接続をブロックし、充電用ピンのみ接続することで、データが盗まれるのを防止する。

 その他の防止策として、USBポートに差し込まれたままの充電ケーブルを使わないこと、スマートフォンのOSを最新の状態に保ち、脆弱(ぜいじゃく)性を排除することなどが挙げられる。

TechTarget.AIとは

TechTarget.AI編集部は生成AIなどのサービスを利用し、米国Informa TechTargetの記事を翻訳して国内向けにお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品資料 株式会社エーアイセキュリティラボ

最短10分で診断を開始、脆弱性診断の内製化を簡単に実現するツールとは?

自社のWebサービスやアプリの安全性をチェックする脆弱性診断は、これまでIT部門で担当することが多かったが、開発部門や事業部門でも実施したいというニーズが高まっている。求められているのは、より手軽な脆弱性診断ツールだ。

市場調査・トレンド ゼットスケーラー株式会社

従来型SD-WANはもう限界? 防御強化と運用簡素化を実現するゼロトラスト実践術

クラウドの活用や拠点の分散が進む中で、従来型SD-WANの脆弱性がランサムウェア攻撃を増大させる一因になっている。今こそゼロトラスト型アーキテクチャのアプローチが求められているといえるだろう。本資料では、その方法を解説する。

製品資料 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社

シングルベンダーSASEリーダーのNetskopeの実力とは?

企業のITシステムがクラウドに移行するに伴い、サイバー脅威のリスク増大やネットワークパフォーマンスの低下が問題視されている。そこで本資料では、世界の50以上の地域にデータセンターを擁するNetskope SASEソリューションを紹介する。

市場調査・トレンド HENNGE株式会社

約2分の動画で分かる:ゼロデイ攻撃への対策が難しい理由と有効な予防策

ネットワークの機器やソフトウェアなどの脆弱性を突く手法であるゼロデイ攻撃は、修正プログラムがリリースされるまでの期間に攻撃を行うため、抜本的な対策が難しいといわれている。本動画では、その理由と有効な対策を紹介する。

製品レビュー HENNGE株式会社

2分で分かる、期限切れドメインを悪用する「ドロップキャッチ」の手口と対策

事業者が運用してきたドメインを手放した直後に、第三者がそれを取得し、偽サイトなどを公開して悪用する「ドロップキャッチ」という攻撃の手口がある。このような不正を未然に防ぐための対策を、2分弱の動画で解説する。

郢晏生ホヲ郢敖€郢晢スシ郢ァ�ウ郢晢スウ郢晢ソスホヲ郢晢ソスPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

スマホを充電しただけなのに──マルウェア感染を招く「ジュースジャッキング」とは:実は危ない? 無料の充電ステーション - TechTargetジャパン セキュリティ 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

TechTarget郢ァ�ク郢晢ス」郢昜サ」ホヲ 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。