世界中のさまざまな業界の企業が、生成AIなどの新しい技術を試験運用から本格導入へと移行できずに苦心しているとEYが指摘した。導入を加速させるためには、何が必要なのか。
国や業界を問わず、企業は生成AI(AI:人工知能)をはじめとした新しい技術を試験運用する段階で足踏みしている──。コンサルティング企業Ernst&Young(EY)が2025年2月に発表した「Reimagining Industry Futures」(業界の未来を再構築するための調査)によると、そのような状況が浮き彫りになった。
調査は2024年11月、英国9%、ドイツ6%、米国20%の企業を含む1635社を対象に実施した。対象とした業界は金融サービス(13%)、自動車・運輸(13%)、エネルギー・鉱業・公益事業(13%)、製造業(12%)など多岐にわたる。
EYによると、生成AIに投資している企業は47%で、前年の43%から増加した。IoT(モノのインターネット)への投資は43%、5G(第5世代移動通信システム)技術への投資は33%となり、前年の39%と27%からそれぞれ上昇した。
しかし、企業は新しい技術の試験運用から本格導入への移行に苦心している。生成AIを実際に導入している組織は1%に過ぎない。IoTへの投資は年々増加傾向にあるものの、実際の導入率は前年の19%から16%に低下した。エッジコンピューティング(端末の近くでデータを処理する手法)の実際の導入率も前年と同じ22%で横ばいだった。
EYによると、企業内の意思決定は経営幹部全体に広がり、49%のCEOが新しい技術の戦略やサプライヤーの選定に関与している。CEOが主要な意思決定者となっている組織は、より進んだ取り組みが見られる。CEOが技術関連の意思決定に関与している企業の51%が生成AIに投資しているのに対し、CEOの関与が少ない組織は44%にとどまる。
EYの英国・アイルランド地域のテクノロジー・メディア・エンターテインメント・通信部門マーケットリーダーであるロブ・アトキンソン氏は、次のように述べる。「新しい技術を試験的に導入しても、本格的に活用できる段階を越えられなければ、長期的な価値創出を妨げるだけでなく、複数の技術を組み合わせると得られる相乗効果を期待できなくなる。79%の企業が、こうした相乗効果を望んでいる」
アトキンソン氏は「新しい技術を活用する取り組みが個別に実施されると、得られるビジネス上のメリットが限られる恐れもある」と付け加えた。
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