DXの影で疲弊するIT管理者、AIOpsは救世主になるのか開発と運用で重みを増す「自動化」【後編】

DXが進展するほど社内には管理対象のシステムが増え、IT管理者は疲弊する。効率化だけではない、AIOps(AI技術を使ったシステム運用)の価値とは。

2024年01月29日 08時00分 公開
[Cliff SaranTechTarget]

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 デジタルトランスフォーメーション(DX)が進展するにつれ、システム運用管理の作業負荷は増加する。効率化のために、運用管理にAI(人工知能)技術を生かす「AIOps」の仕組みを導入するのは有効な手法だ。導入事例や調査資料から、AIOpsが求められている理由を探る。

AIOpsの導入でシステム運用はどう変わる?

 アパレル通販企業Shop Direct Home Shopping(The Very Groupの名称で事業展開)は運用管理の自動化を実現するために、ITインフラサービスベンダーのKyndrylが提供するAIOpsシステム「Kyndryl Bridge」を導入。The Very Groupが使用するソフトウェアやITインフラのデータを一元管理するとともに、データに基づく意思決定を支援し、業務の負荷を軽減することを目指した。

 The Very Groupの最高情報責任者(CIO)を務めるマット・グレスト氏は、Kyndryl Bridgeの導入について次のように語る。「私たちはデジタルトランスフォーメーション(DX)の最中にいる。顧客に優れたデジタルエクスペリエンス(デジタル技術を使ったサービスの体験価値)を提供し、部門間の連携を見直し、業務の効率化に取り組むために、Kyndryl Bridgeを導入した」

DXが進むほど運用管理は重労働に

 ITベンダーはユーザー企業のDXを支援するために、システム運用管理にさまざまなAI技術や自動化技術を組み込むことを促してきた。例えばAIOps製品群「TechM amplifAI0->∞」を提供するITコンサルティング企業Tech Mahindraは、テキストや画像などを自動生成する「生成AI」技術を搭載した業務支援ツール「Ops amplifAIer」を2023年6月に発表した。これは運用管理ツールと連携して問い合わせチケットやアラートに関する情報を収集し、分析した上で、考えられる根本原因を特定し、解決のアクションを提案したりスクリプト(簡易的なプログラム)を生成したりできる。同社最高技術責任者(CTO)を務めるハシット・トリヴェディ氏は、Ops amplifAIerについて次のように語る。「問い合わせチケットの内容を分析して解決するために、エンジニアは複数のツールにログインしたり、ウィンドウを切り替えたりしなければならない場合がある。そのような負担を減らすために、われわれはOps amplifAIerを開発した。ユーザー企業は、ビジネスの価値と効率を高めるために、問題を迅速に対処できる技術を求めている」

 調査会社Gartnerが2022年5月に公開した資料「Market Guide for AIOps Platforms」は、「DXに取り組むほど、運用管理においては『問題発生後の対処』という受け身の姿勢を取る余裕がなくなっている」と指摘する。運用部門はより積極的にプロセス全体に関与し、ユーザーエクスペリエンス(UX:ユーザーの体験価値)に影響が及ぶ前に問題を予測して予防することが望ましい、とGartnerは主張する。

 加えて、ITリーダーがデジタル化したビジネスの状態を観測できるようにオブザーバビリティ(可観測性)を高めることが重要だ。そのためには以下の要素を連携させる必要がある、とGartnerは説く。AIOpsを通じてさまざまな要素からデータの発生パターンやルール、依存関係を見つけ出すことができ、洞察と意思決定の機会を得ることが可能だ。

  • ITインフラ
  • ソフトウェア
  • デジタルエクスペリエンス(デジタル技術を使ったサービスの体験価値)
  • 主要業績評価指標(KPI)
  • 社会的なセンチメント
    • SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)やWebサイトのテキスト情報および音声情報を基に分析する、個人の心情や市場心理など

 DXの文脈では「バックエンドシステムの運用最適化」は刺激的なテーマとは言えない可能性がある。だがITリーダーにとってバックエンドシステムの最適化は、顧客体験の始まりから終わりまでに影響する重要なテーマだ。ITサービス管理(ITSM)、サイト信頼性エンジニアリング(SRE:Site Reliability Engineering)、オブザーバビリティは、そのための重要な要素であり、これらなしに進めるデジタル化は不完全なものになる。エンドユーザー側で不具合が発生した場合には、カスタマーサービス部門の従業員が謝罪しなければならなくなる。

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