手作業によるシステム運用管理は、どれほどの生産性損失につながるのか。調査会社Forrester Researchのレポートから、IT運用に関わる現場の声を紹介する。
システムや業務プロセスのどこにボトルネックが生じていて、それがエンドユーザーにどういう影響を与えているかを理解することは重要だ。技術の進歩とともに可視化できる領域が広がった。IT部門はフロントエンド(エンドユーザーの目に見える部分)からバックエンド(エンドユーザーの目に見えない部分)まで、ユーザーエクスペリエンス(UX:ユーザーの体験価値)に関するメトリクス(指標)を把握できるようになった。
しかし、さまざまな製品やサービスが複雑に絡み合ったITシステムでは、不具合の影響を正確に把握することは困難だ。デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する上でも、変更管理は重要な意味を持つ。
デジタルアダプションツール(業務用アプリケーション定着支援ツール)ベンダーWalkMeが2022年に公開したレポート「The State of Digital Adoption 2022-2023」によると、ビジネスリーダーたちは自社がITの急激な発展に追い付けず、結果的にコストやリスクが増加することを懸念する。
同調査は2022年3月〜5月に、北米、オーストラリア、ニュージーランド、英国、アイルランド、ドイツ、オーストリア、スイス、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、アイスランド、フランスで実施。対象は従業員500人以上の企業におけるビジネスリーダー計1475人だ。回答者の60%は、変更管理における「マニュアル作成」や「従業員トレーニング」のような施策は、もはや目的に合致していないと考えている。63%は「画一的な技術サポートや従業員トレーニングが機能しない」と答えた。
システム管理ベンダーScienceLogicが2023年3月に公開したレポート「Is Mistrust Of AIOps And AI-Driven Automation Hampering Digital Transformation Efforts?」は、手作業のシステム運用管理に苦しんでいる企業が少なくないことを示している。同調査はScienceLogicの依頼で調査会社Forrester Researchが2023年2月に実施した。対象は、データアーキテクチャ、データサイエンス、アナリティクス、セキュリティなど、システム運用管理やオブザーバビリティ(可観測性)の分野を担当するITリーダー459人。同レポートによると、重大なインシデントの解決を手作業で続ける限り、インシデントの件数に比例して、問題の特定や診断、解決に必要な人的リソースもその分必要になる。
手作業でITシステムの監視や運用をすることの非効率さについても、同レポートは指摘する。回答者の70%が根本原因の特定に3〜7日、69%はインシデントの解決に3〜7日を要していた。
回答者の57%は自社が「手作業の業務プロセスで時間と人的リソースを無駄にしている」と考えている。58%は、業務プロセスの自動化にAI(人工知能)技術を活用しないことが「顧客満足度や従業員エクスペリエンス(業務における従業員の体験や経験)を低下させている」と答えた。
中編は、ITサービス管理(ITSM)の重要性と、実施する上で着目すべきポイントに焦点を当てる。
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