労働人口が減少する中、人類の半分を占める女性の採用・活用は企業にとって死活問題だ。しかし、女性の活用に失敗している企業は同じことを言うという。
ガブリエラ・シュスター氏のIT業界でのキャリアは、Microsoftでの26年間を含む35年に及ぶ。現在は女性不足と影響力の欠如に関するサポートをIT企業に提供している。
シュスター氏はMicrosoft時代、エンタープライズサービス、ライセンス、トレーニングと認定、クラウド、エンタープライズなどの分野で約15種類の職務を担当し、最終的にはチャネルパートナービジネス部門の責任者を務めた。
IT業界でキャリアを重ねていく中で、シュスター氏は女性の奮闘を目にしてきた。「女性にとっては非常に困難であり、Microsoftでさえ部屋にいる女性は私だけだった。地位が上がるにつれ、女性の数はどんどん少なくなっていく」
「男性は女性の話をさえぎり、耳を傾けない傾向がある。私は女性として、口を開くたびに信頼を築かなければならないと感じてきた」
その結果、組織への帰属意識を持てない多くの女性がIT業界に魅力を感じなくなっている。コロナ禍で多くの女性がIT業界を離れた。この状況を変える必要性が高まっているとシュスター氏は言う。
女性を引き付けて確保することは、多様性の達成という単なる官僚主義的確認作業ではない。女性に機会を提供し、製品やサービスを含めて組織を改善する戦略であるべきだと同氏は強調する。
シュスター氏は「男性と女性の強力な協力関係」の構築に力を入れている。「女性を組織に取り込み、女性に力を与える方法についてのガイダンスを提供する。また、男性が女性のよき協力者になり、女性を環境に取り込むための行動についてアドバイスする」
シュスター氏は多くのIT組織の諮問委員会で働いている。カスタマーサービス用会話AIを開発しているArtificial Solutionsの諮問委員会が最新の役割だ。
「Artificial SolutionsのCEOと上層部に協力して、同社がダイバーシティーとインクルージョンにおけるリーダーになり、同社のAIがインクルーシブなものになるように支援している」(シュスター氏)
シュスター氏はMicrosoft時代、チャネルパートナーの多様性の取り組みを支援したことがある。
「パートナー企業で男性のCEOと多様性について話すと、『世の中には十分な女性がいない』という。そんなことはない。女性はたくさんいる。そうした企業は女性を採用する方法を学ばなければならない」
Artificial Solutionsのニコラス・ケルシュテット氏(最高収益責任者)は言う。「私はIT業界に入って20年間になる。この業界で多様性について話すと、最初に必ず十分な女性がいないと言う。それはどこを見て、何を探して、どのような面接プロセスを設定しているかの問題だ」
「北欧諸国は、以前は多様性のリーダー的な存在だったが、今や後れを取っている」
「米国のIT系スタートアップ企業と仕事をしたとき、本当に気付かされた。黒人や女性がIT業界で職を得るのに悪戦苦闘している様子を見て、スウェーデンでの自身の仕事に目を向けた。スウェーデンは多様性があると思っていたが、実際にはそうではなかった」
Artificial Solutionsは約100人のスタッフを擁しており、リーダー職の38%を女性が占めているという。
「非常にうまくいっている。だがそれだけではなく、ITとプラットフォームの観点から同社の製品がもっとインクルージョンとダイバーシティーを持つようにしたいと考えている」(シュスター氏)
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