IT人材は売り手市場であり、約75%が転職を考えているという。テレワークによる「働く場所の多様化」は国境さえ無意味にしてしまった。人材を確保するために企業ができることは何か。
Boston Consulting Group(BCG)が世界の約1万人を対象に行った調査によって、IT人材の約75%が今後2〜3年以内に現職を離れることを計画しており、約40%は既に新たな職を探していることが明らかになった。
BCGのオルソリャ・コバチ・オンドレイコビッチ氏(アソシエートディレクター)によると、企業は同じ人材プールで求人競争を続けているため、最重要セールスポイントは給与になっているという。
「IT人材はコロナ禍を比較的無傷で切り抜け、多くの選択肢がある過熱した人材市場に参入している」
「あらゆる業界がデジタル化を進め、多くの企業が競争を諦めるレベルまでIT人材の給与が急騰している。とはいえ、当社の調査は金銭が全てではないことも示している。適切な職場文化と価値観を備える企業は依然として魅力的な可能性がある」
IT人材が転職を検討する最も一般的な理由はキャリアアップで、求職者の約半数が「新たな挑戦が必要」と述べている。つまり、必ずしもIT人材がこの業界を完全に離れようとしているわけではない。BCGのレポートは、高度な技術スキルを有する人材は転職を視野に入れていないが、転職する場合はコンサルティング職やエンジニア職を選ぶことを示している。
IT人材にとっては適切なワークライフバランスが最も重要な側面だ。IT人材は企業のダイバーシティーとインクルージョンのプラクティスにますます関心を寄せるようになっている。半数のIT人材はダイバーシティーとインクルージョンのポリシーを表明していない企業では働かないと答えている。
サステナビリティー(持続可能性)と環境に対する企業の姿勢についても約半数が同じ見解を示し、4分の1弱は自身の信念と一致する企業で働きたいとしている。
2018年以降、求職のために海外に移住する意思のあるデジタルワーカーは67%から55%に低下した。BCGの調査では、転職のために移住を希望するIT人材の12%が転居先としてロンドンを希望している。IT人材にとって最も人気が高いのはロンドンで、シンガポール(10%)、アムステルダム(9%)、ベルリン(9%)が続く。
IT人材全てが国を離れる意思を持っているわけではない。だが、68%のIT人材は他国企業のためにリモートで働くことを考えている。リモートで働く意思のあるIT人材にとっては米国、英国、オーストラリアの人気が高い。
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