ポルシェに続きフォルクスワーゲンがプライベート5Gを試験導入した。同社がこの試験導入で検証しようとしているものとは何か。
Volkswagenがドイツのウォルフスブルクにある主力工場にプライベート5G SA(スタンドアロン)を導入した。
ミッテルラント運河のほとりにある6平方キロの敷地に工場施設を備え、その施設だけでも1.6平方キロの面積を占める。個々の製造設備、倉庫、管理棟、屋外施設は総延長76キロの道路網で結ばれている。60キロに及ぶ線路が敷地を横切り、6台の機関車、2基の操車ロボットが稼働する。
工場の構内ネットワークはNokiaの「Digital Automation Cloud」(DAC)を使って信頼性が高くセキュアなリアルタイム接続を提供している。このプライベート5Gはウォルフスブルク工場の製造開発センターとパイロット工場をカバーする。
このパイロットプロジェクトの目標は、5G技術が車両製造の厳しい要件を満たすかどうかを検証し、量産における効率と柔軟性を向上させることだ。
NokiaはDACがセンサー、機械、車両、その他の機器向けに広帯域かつ低遅延の接続を提供することを確信している。最初のユースケースでは、製造した車両へのワイヤレスアップロード、ロボットやワイヤレス組み立てツールのインテリジェントネットワークなどを検証する。全てのデータを構内に保持し、ネットワークエッジでのリアルタイム処理が可能であり完全に制御できることを確認する狙いもある。
このネットワークはドイツ連邦ネットワーク庁(ドイツ語:Bundesnetzagentur、英訳:Federal Network Agency)がVolkswagenのプライベート5Gに割り当てた3.7〜3.8GHzの専用帯域で運用される。
このネットワーク計画を担当するVolkswagenのクラウス=ディーター・トゥーフス氏は言う。「5Gの予測可能なパフォーマンスとリアルタイム機能は、そう遠くない将来のスマートファクトリーにとって大きな可能性を秘めている。今回のパイロットプロジェクトで5Gの可能性を探り、産業コンテキストで5G技術を運用・使用する専門知識を培っている」
Nokiaのクリス・ジョンソン氏(グローバルエンタープライズビジネス部門責任者)は次のように補足する。「Nokiaの技術は380社以上の大手企業で実証され、その中の75社以上が5Gを組み込んでいる。Volkswagenは製造におけるプライベート5Gの可能性を探り、デジタル化を活用して効率と生産性を向上させようとしている」
VolkswagenのデプロイはPorscheとEricssonの協業(「ポルシェが製造ラインに導入したプライベート5Gの使い道とは?」参照)が始まった直後に行われた。このプライベート5Gは「Porsche Macan」の製造ラインでパイロット運用され、ロボティクスをケーブルレスでリアルタイム制御する。
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