6Gの開発競争は既に始まっている。拡張現実や仮想現実を活用するには5Gではスペック不足という見方もあり、6Gはその解決策として期待されている。まだ先のことではあるが、6Gの現状を知っておいて損はない。
既に6G通信の開発が盛んになっている。
ABI Researchはアプリケーション分析レポート「6G Standards and Market Developments」(6G規格と市場育成)において、6Gの商用展開は早くても2028年か2029年で、最初の規格は2026年ごろと予想している。
同レポートは5Gについても触れ、韓国、中国、米国、サウジアラビア、フィンランド、スペイン、アラブ首長国連邦、オーストラリア、ドイツなど多くの国が5Gの展開を終えていると述べている。ABI Researchは、5Gのデータレートは20Gbps(ピーク時)を実現するとしている。だがホログラフィック通信や“X現実”などのアプリケーションをサポートするには、恐らくこのレートを1000Gbpsに引き上げる必要がある。ちなみに、X現実とは拡張現実、仮想現実、複合現実の組み合わせを指す。
人間と機械の対話がリアルタイムであろうとなかろうと、6Gで複合現実や仮想現実を生み出すにはこうしたレート値の引き上げが有望だとABI Researchは見ている。こうした環境では、極めて広い帯域幅を備えたTHz通信が重要な役割を果たす。
また、帯域内全二重技術によってデータを送信しながら他のチャネルを学習または検出できる。その結果、遅延が短縮してスペクトル効率が向上する。
ABI Researchのジエンチャ・ホウ氏(5Gとモバイルネットワークインフラのシニアアナリスト)は次のように話す。「自動運転、ドローン群制御、ネットワークの拡大をサポートする自動組織化機能や自動修復機能もネットワークテプロイの時間とコストを節約し、モバイルの対応領域を広げるために重要になる。6Gは、2030年代には多くの機器やセンサーでユビキタスな接続を実現する重要な技術になる可能性がある」
ABI Researchは、フィンランドの6Gフラグシッププログラムがオウル大学主導で始まり、理論研究の検証と産業界での初期プロトタイピングが行われていると述べている。中国、韓国、EU、米国などでもプロジェクト、プログラム、提携が開始されていると補足している。
ITU(国際電気通信連合)やIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)などの標準化機関も6Gのユースケースと要件研究の支援に大きな関心を寄せている。米国連邦通信委員会は95GHzから3THzのスペクトルを開放し、企業が6G向けの新製品やサービスの可能性を検証・確認するための10年間のライセンスを提供している。
「端末やインフラハードウェアの処理の複雑さとエネルギー消費は、高度なワイヤレス技術開発を制限する可能性がある。スペクトルとコンピューティングリソースの動的割り当てや効率の高い干渉軽減アルゴリズムの設計もネットワークサービスとユーザーエクスペリエンスを保証する鍵になる」とホウ氏は話す。
「ビッグデータ、クラウドネイティブコンピューティングとネットワーク、AI、オープンソースの登場により、ネットワークのセキュリティとユーザーのプライバシーがますます重要になっている。これにも6Gによって適切に対処できるようになるだろう」
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