かつて画期的な技術と目されていた5Gは、今やすっかり色あせてしまった。5Gが実現しても通信環境は大して変わらないと筆者は主張する。5Gはなぜこんなにも残念な存在になってしまったのか。
この数カ月、5Gに関しては相反する情報がさまざま飛び交っている。1つには、英国で周波数のオークションが行われ、いわゆる「5Gが開拓した周波数帯」の価格が13.5億ポンド(約2630億円)までつり上がったことだ。他方、Huaweiの社長は、コンシューマー(一般消費者)は4Gと5Gの違いに気付くことはなく、Huaweiが5Gの開発を進めている唯一の理由は、5Gが登場した際に4G製品の売り上げがあおりを受けて落ち込んだ場合の対策であり、あくまでも念のためだと公言している。一体何が起こっているのか。
5Gは何年も前からずっと、誇大宣伝の対象だった。2016年の状況を振り返ると、当時の人々は5Gについて、生活様式を一変させ、事業者に新しい収益源をもたらし、全世界のリーダーシップを手に入れたいと願っている国家にとってはまたとない機会になる、画期的な技術だと考えていた。この説は、筆者が『The 5G Myth』(5G神話)という本にまとめた当時の情勢と一致しない。筆者はこの本で、先述の説で提示されたビジネスケースは正当性に乏しいと、ほそぼそとではあるが反論している。
しかし2017年11月、世間の風向きが変わってきた。英国の大手移動通信会社BTのCEOが、同社では5Gのビジネスケースを作成しておらず、他の事業者も同様だろうと発言したのだ。Vodafoneなどもこの意見に同調した。韓国の大手移動通信事業者KTは、5Gに戦略的な投資を行っている企業として業界内では長きにわたり広告塔のような存在だった。しかし同社が5Gのビジネスケース作成を試みたところ課題が山積みで、2018年の(平昌)冬季オリンピックへの初期導入を通して、5G通信の展開は予想以上に困難であることを学んだという。
通信事業者各社がビジネスケースをきちんと検討していないとすれば、彼らはなぜそんな事業に多額の投資をしたのか。
続きを読むには、[続きを読む]ボタンを押して
会員登録あるいはログインしてください。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
リモートワークやクラウドサービスが拡大する中、ネットワーク遅延の課題を抱える企業も少なくない。通信遅延は生産性にも影響するだけに契約帯域の見直しも考えられるが、適切な帯域を把握するためにも、帯域利用状況を分析したい。
在宅勤務でSIM通信を利用していたが、クラウドの通信量急増により、帯域が圧迫されWeb会議での音切れが発生したり、コストがかさんだりと、ネットワーク環境の課題を抱えていたシナネンホールディングス。これらの問題を解消した方法とは?
VPN(仮想プライベートネットワーク)は、セキュリティの観点から見ると、もはや「安全なツール」とは言い切れない。VPNが抱えるリスクと、その代替として注目されるリモートアクセス技術について解説する。
インターネットVPNサービスの市場規模は増加傾向にあるが、パフォーマンスやセキュリティなどの課題が顕在化している。VPNの利用状況などのデータを基にこれらの課題を考察し、次世代インターネットVPNサービスの利点と可能性を探る。
代表的なセキュリティツールとして活用されてきたファイアウォールとVPNだが、今では、サイバー攻撃の被害を拡大させる要因となってしまった。その4つの理由を解説するとともに、現状のセキュリティ課題を一掃する方法を解説する。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。