不揮発性で既存のSSDよりもはるかに高速な「ストレージクラスメモリ」。IntelとMicronの3D XPointを筆頭に、Z-NANDやMRAMなどが市場に登場している。有望な技術はどれだろうか。
かつて永続ストレージ製品といえば、HDDとNAND型フラッシュストレージ(USBメモリやSSDなど)で構成されていた。しかし昨今は、HDDまたはSSDとメモリの間に新しいレイヤーを配置できるようになった。
これは時に「SCM」(ストレージクラスメモリ)または永続メモリと呼ばれるもので、フラッシュやそれ以外の永続的なメディアで構成される。ハードウェア製品に搭載されると、コスト、パフォーマンス、容量、耐久性など数々の点で性能が変化する。
既存のアーキテクチャでも、SCMを導入するとレイテンシが200マイクロ秒(以下、μs)、500万IOPSに近いストレージ性能を実現する。
SCMあるいは永続メモリは、今後企業にどのような影響を及ぼすのか。また、このメモリを製品に組み込み始めているのはどのサプライヤーなのか。
NANDフラッシュは製品のコストプロファイルが低下したため、SSD市場を長らく支配してきた。フラッシュアーキテクチャの世代交代に伴い、メーカーはビット密度を高めることによりコストを削減できるようになった。言い換えると、1つのセルに実装できるビット数を増やし、セルを重ね合わせることに成功したのだ。
しかし、パフォーマンスを追求する人々の熱意はコストを削減する努力に匹敵するほど根強く、これにより新製品が次々と市場に登場する原動力となっている。
「3D XPoint」はIntelとMicronが共同開発した技術だ。こちらも詳細は発表されていないが、3D XPointは抵抗変化型RAM(ReRAM:Resistive RAM)技術をベースにしていると考えられている。
電荷を使ってビットを記憶するNAND技術に比べ、ReRAMは電気抵抗を使ってデータのビットの状態を記憶する。書き込みと読み取りをブロック単位で実行しなければならないNANDフラッシュとは対照的に、3D XPointはアクセス位置をバイト単位で指定できるため、DRAMにより近い性質を持つ。もちろん3D XPointも不揮発性だ。
これまでのところ、Intelのみが「Optane」ブランドで3D XPointをリリースしている。Micronは「QuantX」というブランドを使用しているものの、まだ製品はリリースしていない。
IntelのOptane SSD「DC P4800X」などのデータセンター向け製品は、55万IOPS(読み取り/書き込み)と10μs(読み取り/書き込み)のレイテンシで、書き込み2.5GBps、読み取り2.2GBpsのパフォーマンスを実現する(訳注)。耐久性は約30DWPD(1日当たりのドライブ書き込み回数)であり、この値は従来のNANDフラッシュ製品よりもずっと高く、SamsungのZ-NANDと互角だ。
訳注:Intelのサイトでは、DC P4800Xの性能について50万IOPS、2GB/s(2GBps)と記述されている。
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