期待のストレージクラスメモリ、Z-NAND、3D XPoint、MRAMを理解しようSCMの時代がやって来た(前編)

不揮発性で既存のSSDよりもはるかに高速な「ストレージクラスメモリ」。IntelとMicronの3D XPointを筆頭に、Z-NANDやMRAMなどが市場に登場している。有望な技術はどれだろうか。

2018年06月27日 08時00分 公開
[Chris EvansComputer Weekly]

 かつて永続ストレージ製品といえば、HDDとNAND型フラッシュストレージ(USBメモリやSSDなど)で構成されていた。しかし昨今は、HDDまたはSSDとメモリの間に新しいレイヤーを配置できるようになった。

 これは時に「SCM」(ストレージクラスメモリ)または永続メモリと呼ばれるもので、フラッシュやそれ以外の永続的なメディアで構成される。ハードウェア製品に搭載されると、コスト、パフォーマンス、容量、耐久性など数々の点で性能が変化する。

 既存のアーキテクチャでも、SCMを導入するとレイテンシが200マイクロ秒(以下、μs)、500万IOPSに近いストレージ性能を実現する。

 SCMあるいは永続メモリは、今後企業にどのような影響を及ぼすのか。また、このメモリを製品に組み込み始めているのはどのサプライヤーなのか。

 NANDフラッシュは製品のコストプロファイルが低下したため、SSD市場を長らく支配してきた。フラッシュアーキテクチャの世代交代に伴い、メーカーはビット密度を高めることによりコストを削減できるようになった。言い換えると、1つのセルに実装できるビット数を増やし、セルを重ね合わせることに成功したのだ。

 しかし、パフォーマンスを追求する人々の熱意はコストを削減する努力に匹敵するほど根強く、これにより新製品が次々と市場に登場する原動力となっている。

3D XPoint

 「3D XPoint」はIntelとMicronが共同開発した技術だ。こちらも詳細は発表されていないが、3D XPointは抵抗変化型RAM(ReRAM:Resistive RAM)技術をベースにしていると考えられている。

 電荷を使ってビットを記憶するNAND技術に比べ、ReRAMは電気抵抗を使ってデータのビットの状態を記憶する。書き込みと読み取りをブロック単位で実行しなければならないNANDフラッシュとは対照的に、3D XPointはアクセス位置をバイト単位で指定できるため、DRAMにより近い性質を持つ。もちろん3D XPointも不揮発性だ。

 これまでのところ、Intelのみが「Optane」ブランドで3D XPointをリリースしている。Micronは「QuantX」というブランドを使用しているものの、まだ製品はリリースしていない。

 IntelのOptane SSD「DC P4800X」などのデータセンター向け製品は、55万IOPS(読み取り/書き込み)と10μs(読み取り/書き込み)のレイテンシで、書き込み2.5GBps、読み取り2.2GBpsのパフォーマンスを実現する(訳注)。耐久性は約30DWPD(1日当たりのドライブ書き込み回数)であり、この値は従来のNANDフラッシュ製品よりもずっと高く、SamsungのZ-NANDと互角だ。

訳注:Intelのサイトでは、DC P4800Xの性能について50万IOPS、2GB/s(2GBps)と記述されている。

Z-NAND




続きを読むには、[続きを読む]ボタンを押して
会員登録あるいはログインしてください。






Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品資料 エヌアイシー・パートナーズ株式会社

コンテナ基盤を最短4時間で構築、AI時代に最適な次世代データ基盤の実力とは?

AIなどによるデータドリブンなアプローチが主流となり、データ基盤にはコンテナネイティブな環境への対応が求められている。こうした中、コンテナ基盤を最短4時間で構築でき、大幅なコスト削減も期待できる、次世代データ基盤が登場した。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

大容量SSDが“100TB超え”でHDDを置き去りにした日

SSDは高速なだけでなく、大容量化でもHDDを凌駕(りょうが)し始めている。100TB超のSSDが登場する今、ストレージ選定の常識はどう変わるのか。

製品資料 株式会社ネットワールド

すぐ役立つ&初めてでも安心 「NetAppの教科書」決定版

データ環境の急変は、企業のストレージ課題を複雑化させている。性能や拡張性、データ保護、分散環境の一元管理、コスト最適化など、自社の課題に合わせた製品・サービスをどう見つければよいのか。それに役立つ製品ガイドを紹介したい。

技術文書・技術解説 エフサステクノロジーズ株式会社

フラッシュアレイ選びのヒント:最小限のダウンタイムでデータ移行できる製品は

フラッシュアレイ導入を検討する際、既存のリモートストレージデバイスからのデータインポートは気になる点の1つだ。そこで本資料では、最小限のダウンタイムでデータ移行できるフラッシュアレイ/ハイブリッドアレイ製品を紹介する。

製品資料 エフサステクノロジーズ株式会社

初級解説:中小規模向け「フルSSD」&「ハイブリッドストレージ」の実力

近年、企業に蓄積されるデータが爆発的に増加しており、新たなストレージシステムへのニーズが高まっている。そこで、中小規模のニーズをカバーする、フルSSDおよびSSD/HDDハイブリッドのシンプルなブロックストレージを紹介する。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...