HPEとDell EMCによるSCM搭載ストレージの市場投入によって、ストレージアーキテクチャが新たな段階に突入する。
2018年12月中旬、HPEは「3PAR」アレイと「Nimble」アレイにストレージクラスメモリ(SCM)を搭載すると発表した。ストレージのアーキテクチャが新たな段階に突入すると同時に、ストレージパフォーマンスに変革が起こる可能性が見えてきた。
HPEの動向は「新世代アプリケーション」(分析企業IDCによる定義)の登場を受けたものだ。新世代アプリケーションは、分析、人工知能(AI)、機械学習を中心とする、(ほぼ)リアルタイムの処理が必要なアプリケーションを指す。
トランザクション処理など、最もパフォーマンスが重視されるアプリケーションは遅延時間がナノ秒単位のキャッシュやDRAMに作業データセットを保持しなければならなかった。
だが保持できる量には限りがあるため、データセットのサイズ増加に応じてフラッシュストレージで補完してきた。この方法は、レイテンシが200マイクロ秒〜300マイクロ秒に増大する可能性がある。そしてI/OパスはSCSIプロトコルに変換され、結果的に処理オーバーヘッドを引き起こす。
SCSIを使わなければ、近年市場で激増しているNVMeフラッシュによって100マイクロ秒未満という壁を破ることができる。
レイテンシの面では、SCMによってアクセス時間が20マイクロ秒または10マイクロ秒未満という新らたなメディアが加わる。このメディアは、フラッシュよりも高速だが価格が高く、DRAMよりも遅いが価格は安い。
市場には既に、「3D XPoint」(ベースは相変化メモリ)を使うIntelの「Optane」と、より「従来型の」セルベースのソリッドステート技術を使ったSamsungの「Z-SSD」がある。Optaneの容量には16GBと32GBがあり、マザーボード上のDDR4スロットかPCIeスロットに接続できる。Z-SSDには480GBと960GBのラインアップがあり、PCIeで接続する。
SCMはフラッシュ/NVMeフラッシュとDRAMの間に収まり、分析を中心とする作業データセットを(揮発性DRAMとは異なり)十分保持できるサイズの永続メディアを提供する。
IDCは、2020年までにはFortune 2000に名を連ねる企業の60〜70%が、ミッションクリティカルなアプリケーション向けにリアルタイム処理を行うと予測している。
前述の通りHPEが3PARアレイとNimbleアレイに組み込むと発表しているのが、Dell EMCも「PowerMax」「SC」「Dell EMC Unity」にSCMを搭載する計画が明らかになっている。
NetAppはSCM搭載製品の計画の有無を明らかにしていないが、SCMをキャッシュとしてアレイで使用する可能性は見受けられる。だがこの予想はすぐに変わるかもしれない。
IBMとHitachi Vantaraは、Webで公開されている資料を見る限りでは現在SCMに関する計画はないようだ。
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