x86やクラウドよりもLinuxメインフレームを選ぶべき理由イメージほど高価ではない

時代遅れで高価で管理が難しいというイメージが定着しているメインフレームの価値を問い直す。大規模かつミッションクリティカルなシステムを運用するなら、コスト効率の高い選択肢の一つとなる。

2019年02月06日 08時00分 公開
[Tony LockComputer Weekly]

 大規模なLinuxサーバ環境を構築する方法は幾つかある。x86システムとパブリッククラウドを利用する方法が代表的だ。だが選択肢は他にもある。そう感じたのは、IBMで「LinuxONE」製品マーケティング部門のプログラムディレクターを務めるアダム・ジョランズ氏と情報交換したときだ。LinuxONEはIBMがメインフレームで構築したソリューションだ。このソリューションが重視しているのは、Linuxのワークロードを運用することにある。

 情報交換での話題は、LinuxONEを使ってミッションクリティカルなオープンソースソリューションを運用している企業が、サービスを中断することなく、等しく重要なセキュリティを確保している方法だった。

 同氏の顧客が運用している代表的なワークロードには、核となる銀行サービスなどがある。こうしたサービスは回復力の高さが不可欠だ。それは単なる希望ではない。通信事業者やサービスプロバイダーにも回復力の高さが求められる同様のソリューションがある。こうしたサービスは、仮想マシンを数百から場合によっては数千まで、コスト効率良くリスクを伴わずに拡張しなければならない。

 ミッションクリティカルなワークロードの特性は、明らかに昔ながらのメインフレームの特徴を思い起こさせる。ITの回復性と可用性の点で、メインフレームは実物を知らない人々を含め、多くの人から代表的存在と認められている。IBMにとっても世間にとっても残念なことだが、メインフレームは時代遅れで高価で管理が難しいという考えが広まっている。だが、そうした考えは既にかなり前から事実ではなくなっている。特に、LinuxONEには全く当てはまらない。

Linux管理者によるメインフレームの管理

 LinuxONEは最新技術を基に構築され、IBMが提供する管理ツールによって日常業務が大幅に簡素化されている。そうした管理ツールは、CA Technologies、Compuware、BMC Softwareなどのベンダーも提供している。同じく重要なのは、Linux管理者が教育を受ければ、他のLinuxシステムに利用していたスキルを使ってプラットフォームを管理できる点だ。

 メインフレームのスケーラビリティ、セキュリティ、回復力といった特性は広く認められるようになった。だがIBMは、メインフレームは高価だという認識からいまだに逃れられないでいる。確かに安価ではないが、非常に大量のワークロードを運用するよう設計されたシステムはいずれも安価ではない。実際、コストを比較する幾つかの調査によると大量のアプリケーションを運用する場合、LinuxONEが少なくともx86システムと同程度にコスト効率に優れていることが示されている。

 LinuxONEの品質を市場が受け入れるには、IBMにとって大きな課題が立ちはだかるのは明らかだ。市場の認識を変えるのは難しい。特に長年にわたって他のベンダーがそうした認識を積極的に助長してきた現状ではなおさらだ。それでも、LinuxONEは成熟した市場でも世界中で急速に成長する経済圏でも、新しい顧客を獲得している。Linuxとクラウドスペシャリスト企業のRed HatをIBMが買収したことは、この分野の市場力学を間違いなく変えるだろう。

 停止できないサービスを大量に稼働させるLinuxシステムを運用する企業、特にそうしたサービスをメインフレームで利用していた経験がある企業なら、当然のようにx86とパブリッククラウドを選ぶのではなく、幅広い選択肢に目を向ける価値があるかもしれない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

鬮ォ�エ�ス�ス�ス�ス�ス�ー鬯ィ�セ�ス�ケ�ス縺、ツ€鬩幢ス「隴取得�ス�ク陷エ�・�ス�。鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�、鬩幢ス「隴主�讓滂ソス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�シ鬩幢ス「隴乗��ス�サ�ス�」�ス�ス�ス�ス

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

「SATA接続HDD」が変わらず愛される理由とは

HDDの容量が30TB超になると同時に、ストレージ技術はさまざまな進化を続けている。そうした中でもインタフェースに「SATA」(Serial ATA)を採用したHDDが変わらずに使われ続けている。なぜなのか。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

IOPSが5倍に向上&コストも80%削減、エクシングが選んだ大容量ストレージとは

カラオケ業界が直面するデータ増に対応すべく多くのストレージを試し続けた結果、4社27台の製品のメンテナンスに悩まされていたエクシング。この問題を解消すべく、同社は大容量かつコスト削減効果に優れた、新たなストレージを導入した。

製品資料 プリサイスリー・ソフトウェア株式会社

データソート性能向上でここまで変わる、メインフレームのシステム効率アップ術

メインフレームにおけるデータソート処理は、システム効率に大きく影響する。そこで、z/OSシステムおよびIBM Zメインフレーム上で稼働する、高パフォーマンスのソート/コピー/結合ソリューションを紹介する。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

従来ストレージの約8倍の容量を確保、エルテックスが採用したストレージとは

ECと通販システムを統合したパッケージの開発と導入を事業の柱とするエルテックスでは、事業の成長に伴いデータの容量を拡大する必要に迫られていた。そこでストレージを刷新してコスト削減や可用性の向上などさまざまな成果を得たという。

市場調査・トレンド プリサイスリー・ソフトウェア株式会社

クラウド統合を見据えたメインフレームのモダナイズ、3つの手法はどれが最適?

長年にわたり強力かつ安全な基盤であり続けてきたメインフレームシステム。しかし今では、クラウド戦略におけるボトルネックとなりつつある。ボトルネックの解消に向け、メインフレームを段階的にモダナイズするアプローチを解説する。

驛「譎冗函�趣スヲ驛「謨鳴€驛「譎「�ス�シ驛「�ァ�ス�ウ驛「譎「�ス�ウ驛「譎「�ソ�ス�趣スヲ驛「譎「�ソ�スPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

x86やクラウドよりもLinuxメインフレームを選ぶべき理由:イメージほど高価ではない - TechTargetジャパン サーバ&ストレージ 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

TechTarget驛「�ァ�ス�ク驛「譎「�ス�」驛「譏懶スサ�」�趣スヲ 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。