時代遅れで高価で管理が難しいというイメージが定着しているメインフレームの価値を問い直す。大規模かつミッションクリティカルなシステムを運用するなら、コスト効率の高い選択肢の一つとなる。
大規模なLinuxサーバ環境を構築する方法は幾つかある。x86システムとパブリッククラウドを利用する方法が代表的だ。だが選択肢は他にもある。そう感じたのは、IBMで「LinuxONE」製品マーケティング部門のプログラムディレクターを務めるアダム・ジョランズ氏と情報交換したときだ。LinuxONEはIBMがメインフレームで構築したソリューションだ。このソリューションが重視しているのは、Linuxのワークロードを運用することにある。
情報交換での話題は、LinuxONEを使ってミッションクリティカルなオープンソースソリューションを運用している企業が、サービスを中断することなく、等しく重要なセキュリティを確保している方法だった。
同氏の顧客が運用している代表的なワークロードには、核となる銀行サービスなどがある。こうしたサービスは回復力の高さが不可欠だ。それは単なる希望ではない。通信事業者やサービスプロバイダーにも回復力の高さが求められる同様のソリューションがある。こうしたサービスは、仮想マシンを数百から場合によっては数千まで、コスト効率良くリスクを伴わずに拡張しなければならない。
ミッションクリティカルなワークロードの特性は、明らかに昔ながらのメインフレームの特徴を思い起こさせる。ITの回復性と可用性の点で、メインフレームは実物を知らない人々を含め、多くの人から代表的存在と認められている。IBMにとっても世間にとっても残念なことだが、メインフレームは時代遅れで高価で管理が難しいという考えが広まっている。だが、そうした考えは既にかなり前から事実ではなくなっている。特に、LinuxONEには全く当てはまらない。
LinuxONEは最新技術を基に構築され、IBMが提供する管理ツールによって日常業務が大幅に簡素化されている。そうした管理ツールは、CA Technologies、Compuware、BMC Softwareなどのベンダーも提供している。同じく重要なのは、Linux管理者が教育を受ければ、他のLinuxシステムに利用していたスキルを使ってプラットフォームを管理できる点だ。
メインフレームのスケーラビリティ、セキュリティ、回復力といった特性は広く認められるようになった。だがIBMは、メインフレームは高価だという認識からいまだに逃れられないでいる。確かに安価ではないが、非常に大量のワークロードを運用するよう設計されたシステムはいずれも安価ではない。実際、コストを比較する幾つかの調査によると大量のアプリケーションを運用する場合、LinuxONEが少なくともx86システムと同程度にコスト効率に優れていることが示されている。
LinuxONEの品質を市場が受け入れるには、IBMにとって大きな課題が立ちはだかるのは明らかだ。市場の認識を変えるのは難しい。特に長年にわたって他のベンダーがそうした認識を積極的に助長してきた現状ではなおさらだ。それでも、LinuxONEは成熟した市場でも世界中で急速に成長する経済圏でも、新しい顧客を獲得している。Linuxとクラウドスペシャリスト企業のRed HatをIBMが買収したことは、この分野の市場力学を間違いなく変えるだろう。
停止できないサービスを大量に稼働させるLinuxシステムを運用する企業、特にそうしたサービスをメインフレームで利用していた経験がある企業なら、当然のようにx86とパブリッククラウドを選ぶのではなく、幅広い選択肢に目を向ける価値があるかもしれない。
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