Linuxユーザーも「PowerShell」を無視できない理由いまさら聞けないPowerShell入門(後編)

PowerShellはWindowsを管理するための強力なツールであり、マスターすべき多くの理由がある。さらに、Linuxユーザーにとっても無視できない存在になるだろう。

2017年09月08日 08時00分 公開
[Tim AndersonComputer Weekly]

 前編(Computer Weekly日本語版 8月16日号収録)では、「Windows PowerShell」(以下「PowerShell」)の特徴や仕組み、言語的な概要を簡単に紹介した。今回はPowerShellのパイプライン機能やリモート処理機能、そして「Linux」との関係について解説する。

オブジェクトとパイプライン

 PowerShellはオブジェクト指向言語で、コードは一見すると他のコマンドシェルと似ているかもしれないが、その使い方は独特だ。例えば「dir」と入力すると、現在のディレクトリにあるファイルの一覧が表示される。この動作は標準のWindowsコマンドシェル(そしてMS-DOS)と似ているが、全く同じというわけではない。実はPowerShellでは、dir(LinuxやUNIXに慣れている人のために説明すると、lsコマンドと同等)はGet-ChildItem(コマンドレット)のエイリアスだ。このコマンドはオブジェクトのコレクションを返す。デフォルトでは、dirの出力には各ファイルオブジェクトの4つのプロパティ(Mode、LastWriteTime、Length、Name)のみが表示される。では、CreationTimeプロパティの詳細を知りたい場合はどうすればいいのか。そもそも、そのオブジェクトにCreationTimeプロパティがあるかどうかを確認するにはどうすればいいのか。

 PowerShellオブジェクトの詳細を確認するのに使える、重要な機能が幾つかある。その1つはPowerShellパイプラインだ。パイプラインは縦棒(|)の記号で表される。これを使用すると、出力が次のコマンドレットに渡される。

 Format-Listコマンドレットは、引数に「*」を指定すると、全てのプロパティを表示する。つまり「dir | format-list *」を実行すれば、CreationTimeを含む各オブジェクトの全プロパティの詳細が表示される。また、Select-Object(またはselect)コマンドレットを使用すれば、必要なプロパティの正確な情報を表示する。さらにWhere-Object(またはwhere)コマンドレットで、出力をフィルタリングすることもできる。以下のコマンドを実行すると、現在のディレクトリとそこに含まれるサブディレクトリの中にあり、サイズが100MBを超えるファイルのファイル名を表示し、指定したテキストファイルにその結果を書き込む(訳注)。

dir -r | where length -gt 100mb | select fullname, length | out-file bigfiles.txt

訳注:Windows 7にデフォルトでインストールされているPowerShell 2.0では動作しない。翻訳記事作成に際して、Windows 7にPowerShell 5.0をインストールして動作することを確認した。

リモート処理

 PowerShellのリモート処理は、リモートコンピュータ上で対話型のセッションやスクリプトを実行する機能だ。その際、リモートコンピュータ側にデスクトップの完全なイメージは必要ない。Linuxでいえば、SSHでリモートサーバを管理するのと同様だ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 フリー株式会社

情報システム部門の負担を軽減、SaaSのアカウント管理を効率的に行う方法とは?

近年、SaaS利用が加速する中、「誰がどのサービスを使っているのか不明」「退職者のアカウントが残っている」といった管理上の問題が顕在化している。そこで本資料では、SaaSのアカウント管理を効率的に行う方法を紹介する。

製品資料 ニュータニックス・ジャパン合同会社

複雑なハイブリッド環境をシンプルに、ITダウンタイム減少へ向けたBCDRの新潮流

今日、企業は俊敏かつ継続的なサービスを求められており、顧客離れやブランド価値の毀損につながるシステム停止は絶対に避けるべき要件となっている。そこで重要となるのが、データ保護とBCDR(事業継続性とディザスタリカバリー)である。

製品資料 サイオステクノロジー株式会社

有識者に聞く、システム障害対策をコストではなく「経営課題」と捉えるべき理由

組織経営の存続を左右する「システム障害」だが、これまではその対策を単なるコスト要因と見なす風潮が強かった。しかし新世代のビジネスリーダーたちは重大な経営課題としてシステム障害に向き合い、さまざまな対策を実践しているという。

製品資料 サイオステクノロジー株式会社

マンガで学ぶ:「止まっては困るシステム」を守るHAクラスタの有用性

さまざまな業種の組織で稼働する「止まっては困るシステム」が、障害で停止するケースが増加している。こうしたリスクに対処する方法として注目されるHAクラスタの有用性と、製品選定時に押さえておきたいポイントをマンガ形式で解説する。

プレミアムコンテンツ レッドハット株式会社

AIOpsツールを使ってみたくなる用途はこれだ

「AIOps」ツールはシステムの運用や開発における業務効率化に役立つ。どのようなメリットがあり、どのように活用できるのか。似た言葉である「MLOps」と共に紹介する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。