ディズニーは、主にテーマパークやリゾート施設の顧客体験向上にアナリティクスを活用しているという。一方でミュージカルの運営にも取り入れ、『ライオン・キング』の興行を成功させた。
エンターテインメント業界の大手The Walt Disney Company(以下、Disney)は、データアナリティクスへの投資を継続して増やし、主要事業部門の一部では部門間の垣根を越えて顧客体験の改善を進めている。
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同社が手掛ける事業には、テーマパークやリゾート施設の運営、メディアネットワーク、映像コンテンツ制作、コンシューマー向け商品や双方向メディアなどがある。アナリティクスは主にテーマパークやリゾート施設を訪れたゲスト(来場者)の顧客体験を向上させる用途に利用している。
Disneyでソリューションインテグレーションの責任者を務めるテディ・ベンソン氏は、SAS Instituteのカンファレンス「SAS Global Forum 2018」で次のように語った。「顧客の満足度を高いレベルで維持し、友人に話したくなるような最高の体験を提供したい。その鍵となるのがアナリティクスだ」
Disneyでは1000人の従業員とサプライヤーのスタッフがアナリティクス関連のタスクに取り組んでいるという。「顔認識からデータ入力まで、さまざまなタスクに対応するチームを幾つも作っている」とベンソン氏は話す。
「どのタスクにも共通する専門知識を特定するのは難しい」と同氏は付け加える。「当社では中心的な存在を置かない。メンバーが複数のグループに分かれ、グループ同士でコラボレーションを進める」
Disneyほどの大企業なら、データアナリティクス体制は既に確立しているだろうと読者は考えているかもしれないが、ベンソン氏によると同社は今なお進化を続けており、実験を恐れない企業文化を維持しているという。
「新興企業と同じように、われわれも概念実証(PoC)を実施している」と同氏は説明する。「少額の予算を当ててリスクを調査し、成功が見られた分野ではそのレベルに応じて投資を増やして、これまでに社内で築いてきたアーキテクチャ設計の枠内でどこまでできるのかを見極めている」
ただしこのコメントは、Disneyがアナリティクスを最近導入したばかりの企業だという意味ではない。Disneyは7年前から何らかの形で機械学習を利用してきた。しかしそれだけの歴史がありながらも、謎とされてきた幾つかの概念を解明するタスクは完了できていない。
「物事の伝え方をわきまえる必要もある」とベンソン氏は指摘する。「機械学習や人工知能(AI)などに関する事象には、現時点では謎が多い。これらに関するバズワードがあまりに多いので、われわれは明確な形でそれを表現し、人々に分かりやすく伝える試みに取り組んでいる」
Disneyがアナリティクスに注力していることを示す事実として、同社は毎年アナリティクスをテーマとするカンファレンスを開催している。2018年は8月に開催予定で、企業や大学など200以上の組織とDisneyの全部門から、企業幹部、管理職、アナリストなど1300人の参加者が見込まれている。
このカンファレンスは、収益管理、価格設定、予測、マーケティングアナリティクス、顧客関係管理(CRM)、調査研究、テクノロジー、データ管理、意思決定など、一連の応用分野を網羅している。Disney社内で展開されている施策にとどまらず、データの世界全体で何が起こっているのかを議論する機会にもなっている。
「当社のアナリティクスカンファレンスは、Disneyの人間だけではなく外部の人々にも公開している」とベンソン氏は話す。「電気自動車から保健医療まで、あらゆることを話し合う場になっている。さまざまな分野の人々が一堂に会してそうしたトピックを議論するのは素晴らしい」
同氏はまた、アナリティクス機能だけでなく、事業的な価値が実証されている分野にも同社は投資すると語る。
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