データサイエンスの取り組みを局内に浸透させるために、英国公共放送局のデータサイエンス責任者は“ある工夫”をしているという。それは何なのか。BBCとChannel 4のデータサイエンス責任者が明かす。
公共放送局BBC(英国放送協会)とChannel 4(Channel Four Television)のデータサイエンス責任者が、2022年9月下旬に英ロンドンで開催されたイベント「Big Data LDN 2022」に登壇した。両局は局内にデータサイエンスを広めるために、何をしているのか。
イベントに登壇した各局のデータサイエンス責任者は、局内でデータサイエンスの取り組みを正当化して売り込む必要性を指摘した。Channel 4のデータサイエンスの責任者、マイケル・テレル氏によると、同局のデータサイエンスチームは各部門の財務担当者に対して、データサイエンスチームが手掛けるプロジェクトのメリットを重視するよう依頼。その根回しによって、データサイエンスチームは予算の確保に成功しているという。
BBCのプロダクトグループでデータサイエンスの責任者を務めるメーガン・スタンパー氏は、同局のデータサイエンスチームに対して「プロダクトグループに役立つプロジェクトを重視するように勧めている」と語る。プロダクトグループはインターネットラジオ視聴サービス「BBC iPlayer」などのIT製品/サービスを開発して提供する役割を担う。
「高収入を得ているデータサイエンティストにとっては、興味があったり、キャリアアップにつながったり、熱中できたりするプロジェクトに従事することよりも、所属する部門にメリットをもたらすことの方が重要だ」。スタンバー氏はこう指摘する。ただしデータサイエンティストは「試験的なプロジェクトに時間を費やすことにもメリットがある」と同氏は付け加える。
BBCのデータサイエンティストは、英グラスゴー大学(University of Glasgow)のジェフ・ダルトン助教と、英エディンバラ大学(University of Edinburgh)のデータ活用研究機関The Data Labが参加する、対話型の人工知能(AI)システムに関するプロジェクトを進めている。このプロジェクトでは、BBCのスタッフが作業時間の一部を費やして、学生インターンをサポートしている。同プロジェクトは機械学習などのAI分野に関して、BBCの研究開発部門とも連携している。
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