データ主導のビジネスを実現するためにIT部門の力は不可欠だが、ITインフラの運用管理スキルだけでは太刀打ちできない可能性がある。IT部門が「データドリブン経営」に貢献するのに必要なスキルとは。
企業のデジタル化が進み、IT部門と事業部門の協働が必要になりつつある。昨今重視されるデータ主導のビジネスを成功に導くためには、両部門の協力が不可欠だからだ。こうした背景からIT部門は、データに精通し、高い協働能力を備えていることが望ましい。具体的には、どのようなスキルが必要なのか。
スムーズなデータ活用のためには、IT部門はリアルタイムなインサイト(洞察)を取得するための機能をシステムに組み込む必要がある。これには、分析担当者が信頼できるデータをタイムリーに取得するためのプロセスの整備も含まれる。
昨今はIT部門の職務の中で、ビジネスの成功を後方から支援する役割の比重が高まりつつある。データ活用においても、IT部門が企業のニーズに最適なデータマネジメントツールやデータ分析ツールを導入するとともに、データ活用プロセスを整備すると業務がスムーズになる。
SIerのApps Associatesで、データ分析および人工知能(AI)技術分野を担当するバイスプレジデントのマイルズ・ギルセナン氏は「IT部門以外の従業員自身の手でデータ分析ができるセルフサービス型プロセスと、企業のガバナンスを両立させるためには、その両方に対処できるプロセスやツールなどの整備が必要だ」と語る。
ギルセナン氏によると、高度な技術を持つIT部門ほど、ITインフラの整備だけを職務と考えるのではなく、その先にあるデータ活用を重視する。こうしたIT部門は、生データをはじめとするデータ資産を事業部門が理解し、適切に活用できるようにするために「データカタログ」を活用する場合がある。データカタログは、一般の従業員がデータ管理者を介さずに生データを取得し、整形できるようにする仕組みを指す。
これからのIT部門のメンバーに必要なのは、ITインフラとデータ分析という2領域を組み合わせたスキルセットだ。この2領域のスキルはどちらも、データから得た洞察を基に事業判断をする「インサイトドリブン」型の経営を実現するために必要となる。ITインフラに関連するスキルが必要な理由は、「スケーラビリティ」「データガバナンス」「データセキュリティ」といったデータ分析システムの構築に必要な要件を満たすITインフラを設計するためだ。
クラウドベンダーがAI技術を使った機能をサービスとして提供してくれるおかげで、ユーザー企業はバリュープロポジション(価値提案)の構築、実行、刷新にAI技術を活用しやすくなりつつある。
「これからの企業にはデータ活用の豊富な経験とスキルが必要だ」と不動産サービス企業Anywhere Real Estateのエグゼクティブバイスプレジデントで、ビジネステクノロジー担当の最高技術責任者(CTO)を務めるリズワン・アクタル氏は語る。アクタル氏は「今後の企業には、ビジネスの状況に合わせて包括的に製品と機能を提供する能力を持った事業部門、製品開発部門、IT部門が必要になる」と続ける。
第2回は、データ活用を推進する人材に不可欠な知識を紹介する。
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