組織がデータを生かすには、データ分析ツールの導入やデータ専門家の配置だけでは十分ではない。組織内の「分析文化」をどう育み、定着させるかが重要だ。MLB球団レンジャーズが進めた取り組みを追った。
米プロ野球のMLB(メジャーリーグ機構)は、所属球団にさまざまなデータやデータ分析技術を提供している。それらを上回る優位性をデータ分析で獲得するためには、まずあらゆる組織と同様、各球団はデータに基づく意思決定の文化を育てる必要がある――。MLB所属球団のテキサス・レンジャーズ(Texas Rangers)でアナリストを務める、ランドール・パルファー氏はそう主張する。
場当たり的な方法で意思決定をしてきた歴史を持つ組織が、初めてデータ分析を使って意思決定をするには、トップダウンの賛同が必要になる。「クラブハウスで選手やコーチに話をするときは、監督やフロント幹部が分析部門の取り組みに協力的だと大きな助けになる」とパルファー氏は語る。
透明性や可用性、一貫性もまた「球団内でデータ文化を築く鍵を握る」とパルファー氏は続ける。選手やコーチは毎日球団から提示されるレポートを理解しようと努力している。
パルファー氏をはじめとするデータ専門家は、クラブハウスにあるオフィスに閉じこもって数字に没頭できるわけではない。データ専門家はミーティングやクラブハウスであらゆる質問に答えなければならないからだ。ある選手に特定の行動を取ることを勧める理由や、前日のナイトゲームで選手が取った行動(例えば特定の状況下で盗塁を試みたのが正しかったのか、誤りだったのか)の理由を説明する必要がある。
選手やコーチが球団の分析文化に慣れるように、データ専門家はデータ分析を同じ方法で一貫性を持って提供する必要がある。「分析部門の仕事においては、選手やスタッフがデータを利用できるようにすることが特に重要だ」とパルファー氏は話す。優れたプロセスや指標を検討することと、エンドユーザーがそれを理解して使えるように最後まで支援することは「別の問題だ」と同氏は言い切る。
データ分析を核とした意思決定プロセスを実装する前には、データを扱うエンドユーザーの教育が必要だ。データ専門家は、データ分析の使用やシーズンの重点分野、それらが重要だと考えられる理由を説明しなければならない。「選手やコーチがプロセスに参加していると感じられるようにすることが重要だ」とパルファー氏は語る。「数字が選手のキャリアを後押しし、勝ち星を増やす上でどのように役立つかを伝える必要がある」(同氏)
第4回は、レンジャーズの具体的なデータ活用方法を紹介する。
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