MLBが所属球団向けに運用するデータ分析ツールが「Statcast」だ。GCPをベースにしているというStatcastは、球団にどのようなデータを提供するのか。
米プロ野球のMLB(メジャーリーグ機構)は、至る所で分析を使用するようになっている。MLBが提供する豊富なデータには、MLBに所属する全ての球団がアクセス可能だ。
MLBはGoogleのクラウドサービス群「Google Cloud Platform」(GCP)を基盤に開発したデータ分析ツール「Statcast」を運用している。各球団はStatcastによって、フィールド上の選手のあらゆる動きを追跡できる。ボールが投手の手を離れた瞬間からプレーが完了するまでの一連の動きをだ。
各球団がStatcastから得られるデータには、
などがある。
MLB所属球団のテキサス・レンジャーズ(Texas Rangers)は、他球団との競争で優位に立とうと考えた。MLBが提供するデータに加えて、Tableau Softwareのセルフサービス型ビジネスインテリジェンス(BI)ツール「Tableau」を使用して、各試合の前後と試合中に選手とコーチにリアルタイムでデータを提供することにしたのだ。
Tableauはデータを視覚化して、複雑な分析結果を分かりやすい形で表示できることで人気がある。Tableau SoftwareはMicrosoftの「Power BI」や、Qlik(QlikTech International)、Oracle、SAS InstituteなどのセルフサービスBIツールと市場シェアを争っている。
複雑な分析結果を分かりやすく可視化するTableauの機能により、レンジャーズは自球団が優位に立てると確信している。レンジャーズは「R」「Python」「Spark」といったコンピュータ言語で機械学習したデータをGCPとAmazon Web Services(AWS)の同名クラウドサービス群に保存。クエリ(データ操作)言語の「SQL」を使ってそのデータを操作し、最終的にTableauで選手やコーチに伝えている。
「こうしたデータを関係者に伝えることで、試合を優位に進めることができる」。Tableau Softwareが2022年5月に実施したユーザーカンファレンス「Tableau Conference 2022」における分科会で、レンジャーズのアナリストであるランドール・パルファー氏はこう語った。
「データをただ集めても、行動につながらなければ無駄になる」とパルファー氏は指摘。「適切な決定を下すことがゴールであり、データやデータ分析はその手段だ」と強調する。同氏は最終意思決定者により多くのツールや視点を提供し、できる限り多くのデータに基づいた決定を下せるようにしたいと考えているという。
第2回は、データ分析が変えた野球の“常識”を紹介する。
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