CNNの特徴マップを高速演算
量子コンピュータで加速する機械学習の可能性を実証
膨大な演算が必要な機械学習において、量子コンピュータの応用が効果的であると実証された。
マサチューセッツ工科大学(MIT)とオックスフォード大学は、IBMのQ部門と共同で量子コンピュータが機械学習をいかに加速するかを示す論文を発表した。
国際的な総合科学ジャーナル「Nature」に掲載されたこの論文によると、量子コンピュータの特徴マップ(Feature Map)の演算性能は従来のコンピュータをしのぐという。
特徴マップとは、データを分解してより細かい情報にアクセスするための機械学習の技法だ。これを利用して、データセットに含まれる猫と犬の違いのような特徴を識別する(訳注)。
訳注:特徴マップは画像認識などに利用されるCNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)において、畳み込み層でカーネルが抽出したデータ(テンソル)。ディープラーニングに興味のない人は、ディープラーニングで発生する演算プロセスの一つと考えておけばよい。
IBMの研究員クリスタン・テメ氏は、この論文について本誌に次のように語った。「特徴マップは、取得したデータに含まれる全ての特徴を列挙する」
機械学習では、複雑なデータを使って学習させるのは困難だと考えられている。複雑なデータでは、猫や犬の画像を一意に識別するのに必要な特徴の数よりもサンプル数が少ないためだ。
データ分析の種類によっては、問題の規模に比例して特徴マップに必要な演算リソースが指数関数的に増大する。そのため従来のコンピュータでは問題を解決するのが困難になる。この複雑さは量子コンピュータにうってつけだとテメ氏は言う。
「特徴マップと量子力学には自然な重なりがあるので、特徴マップに量子回路を当てはめることができる。従来のコンピュータで伝統的な機械学習を使って行うのは困難かもしれない」とテメ氏は語る。
テメ氏は次のように続ける。「特徴マップの中には従来のコンピュータで問題なく機能するものもある。量子コンピュータを使った方がパフォーマンスが高いものもある。私たちは、これまで分類できなかった特徴マップを識別できるようにしたいと考えている」
実験は、機械学習アルゴリズムで完璧に識別できる既知のデータセットを選んだとテメ氏は話す。その機械学習アルゴリズムを量子コンピュータでテストし、予想通りの結果が得られることを確認した。
量子コンピュータのメリットを生かせる特徴マップをさらに突き止める必要があるとテメ氏は言う。この作業を促進するため、GitHub(https://github.com/Qiskit/qiskit-tutorials/blob/master/qiskit/aqua/artificial_intelligence/qsvm_kernel_classification.ipynb)でソフトウェアと実験へのアクセスをオープンソースとして利用できるようにした。
「私たちはコミュニティーの力を借りることにした。多くの人々に特徴マップとデータの提案を求めなければならないだろう」(テメ氏)
この実験を行うための量子コンピュータは「IBM Q」経由でクラウドサービスとして無償提供される。
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